驚異の対応力。阪神・ゴメスの快進撃はまだまだ続く

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 横山雅樹●写真 photo by Yokoyama Masaki

 また、甲子園で実際にゴメスのバッティングを見たという解説者の田口壮氏は次のように語る。

「体の使い方とタイミングの取り方がマートンにそっくりです。おそらく、マートンや打撃コーチ補佐のオマリーからアドバイスを受けているのでしょう。外国人選手が日本に来ていちばん苦労するのがタイミングの取り方なんです。アメリカの場合、ほとんどのピッチャーが150キロを超える球を投げ、ボールを動かしてくるので大きくタイミングを取ってしまうと遅れてしまう。なので、コンパクトにタイミングを取り、ボールに対して最短距離でバットを出す打ち方をします。ただ、日本で同じ打ち方をしてしまうと、少しタイミングが早くなって、自分のポイントで打てない。でも、ゴメスのバッティングを見ると、タイミングの取り方が大きくなっていて、明らかに日本の野球に対応した打ち方をしています。すごく器用なバッターですね」

 同じく野球解説者の山崎武司氏は、「タイプ的には中日のルナ」と言い、ゴメスのバッティングについてこう説明する。

「上下運動が少なく、目線がぶれないからしっかりミートできる。そのあたり、ルナにそっくりですね。決して長距離打者ではないですが、ツボにくれば一発もありますし、何より勝負強い。確実に率を残すバッターだと思います」

 前出の黒田ヘッドコーチも安心した顔でこう話す。

「対戦がひと回りした時にどうなるかなと思ったけど、何事もなく結果を残していますからね。この先、今以上に相手から研究されるでしょうけど、ゴメスは対応力のある選手ですし、何より真面目。すごく研究熱心。日本人選手ともうまくやっていますし、精神的にリラックスできる環境が作れているから、ケガさえなければこのままやってくれると思いますよ」

 ここまで29試合を消化して、打率.327、4本塁打、33打点、得点圏打率.435の好成績を収めているゴメス。開幕連続出塁は27試合で途切れたが、打点は堂々のリーグトップ。ゴメスのあとを打つマートンも好調を維持。日本プロ野球史上最高の外国人コンビの誕生を予感させる春なのである。

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