驚異の対応力。阪神・ゴメスの快進撃はまだまだ続く (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 横山雅樹●写真 photo by Yokoyama Masaki

 DeNAの蓬莱昭彦外野守備走塁コーチは、「オープン戦にほとんど出てないんだから、その時点でダメだと思っていたけどね。それが今の活躍なんだから、外国人選手というのは本当にわからないね」と苦笑した。

 巨人との開幕戦で、ゴメスはほぼぶっつけ本番で「4番・ファースト」で出場。だが、この試合で4打数2安打2打点の活躍を見せると、甲子園デビューとなった4月8日のDeNA戦では、阪神の歴代外国人最長となる開幕から10試合連続安打を記録。さらに快進撃は続き、25日のDeNA戦で開幕25試合連続出塁を達成した。これは、和田豊監督が現役時代に作った開幕24試合連続出塁を抜く、球団新記録となった。ゴメスは試合後、「チャンスだったのでランナーを還すことだけを考えていた。記録のことは知らなかったです」と答えた。

 黒田ヘッドコーチは、今のゴメスの活躍について次のように語った。

「調整遅れは心配していたけど、これもチームの方針でペースを落とさせていたことだから。コンパクトなスイングだし、広角に打てる。バットの芯に当たれば飛ぶことを本人がよく理解しているので、大振りしない。だから、好不調の波は少ないと思っていました」

 DeNAの久保康友は4月8日の阪神戦に登板してゴメスと対戦している。その時の印象を語った。

「第一印象としては、思い切りがいい、スイングが速い、追い込まれてからも低めのボールを見極める選球眼の良さがある、というところですね。僕は外国人打者に対しては、どちらかというとストライクゾーンからボールになる球で勝負するタイプなのですが、そのボールを見極められるとキツイですね。似たタイプとしては、巨人のロペスですかね。彼も低めのボール球は振らない。ただ、ロペスは本当にミート中心ですが、ゴメスはしっかりと強く振ってくる。その違いはあります」

 久保はゴメスについて、「いいバッターです」とシンプルに答えた。そして、「次にゴメス選手と対戦する時のイメージはありますか」と訊くと、次のような答えが返ってきた。

「選球眼のいい選手ですので、ボールゾーンを振らせるというのは厳しい。ストライクゾーンの中で、遠くに飛ばされないボールを選択していかなければいけないでしょうね。抑えるのは大変なバッターですよ」

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