セ5球団は「プラス2勝理論」で巨人の独走を阻止せよ! (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 では各チーム、「対巨人戦でのプラス2勝」をどのようにして実現すればいいのだろうか。たかが2勝と思えるかもしれないが、決して容易なことではない。昨年も巨人と互角の戦いを演じ、今シーズンもここまで(4月28日現在)唯一勝ち越している阪神の戦いぶりから何かヒントは得られないだろうか。解説者の与田剛氏の見解はこうだ。

「先発が試合を作って、後半勝負に持ち込むというのが巨人に対してのいちばん有効な戦い方だと思います。阪神は他のチームに比べ、こうした戦いがいちばんできているから、互角の勝負をしているのです。今年に関していえば、広島がそれに当てはまります。阪神や広島のピッチャーを見ていると、まずどうやって追い込んでいくかを考えて投げていますよね。バッティングカウントにならないように、ファウルを打たせたり、狙い球と違うボールで攻めたりとバッテリーに工夫が見られます。あとは、守護神の存在でしょうね。阪神には呉昇桓(オ・スンファン)、広島にはミコライオがいるのはすごく大きい。巨人のリリーフ陣が不安なだけに、彼らの存在が余計に輝いています」

 投手力を中心に戦う阪神や広島、さらに中日はまだしも、投手力が不安だらけのヤクルトやDeNAはどのように戦えばいいのか。この2チームに同じような戦いを求めるのはあまりにも酷な話だ。再び与田氏に聞いた。

「正直、守り勝つ野球は厳しいでしょうね。ただ、ヤクルトもDeNAも打てるチームです。バレンティン(ヤクルト)やブランコ(DeNA)といったホームランバッターもいる。とにかく彼らの前にランナーをためて、点を取っていくしかありません。ただ、この2チームに言えるのは、ミスで試合を落としているケースが非常に多いんです。例えば、守備のミスはもちろんですが、先頭打者に四球を与えたり......。試合を見ていると、決して力負けしているとは思いません。負け越してはいますが、結構、接戦の試合も多い。細かいミスさえ減らせば、2~3勝ぐらいは上乗せできると思いますよ」

 同じく解説者の野村弘樹氏も次のように語る。

「広島や阪神の投手は、ストライクゾーンで勝負しようとしていますよね。巨人打線は一発があるのでピッチャーは怖いと思いますが、怖がるあまりくさいところを突こうとしすぎて四球を出してしまう。そしてランナーがたまったところで、今度は四球を出したくないあまり簡単にストライクを取りにいってしまう。まさに悪循環です。とにかくランナーがいない場面は思い切ってストライクゾーンで勝負する。それに尽きると思います」

 何度も言うが、今の巨人はまだ本物ではない。だからこそ、今のうちにしっかりと巨人を叩いておかなければならないのだ。おそらく巨人が目覚めるまで、そう時間はかからないだろう。とにかく、5球団は昨年よりも「プラス2勝」を目標に戦ってもらいたい。これからどんどん暑い日が続いていくだろうが、巨人の独走で寒いペナントレースになるのだけは勘弁してほしい。

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