16年ぶり貯金10。「鯉の季節」にカープファンは何を思う?

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Nikkan sports

 圧倒的なブルペン陣のひとり、中田は好調の要因についてこう話してくれた。

「去年の11月から休まず練習をしてきて、体をしっかり作ってキャンプに入れたのが大きかったですね。キャンプでは技術面を伸ばすことだけを考えて練習ができました。無失点はたまたまです。今もマウンドでは緊張だらけ、不安だらけです。自分は入団6年目で、もう後がないですから。とにかく点を取られても、一岡や永さん(永川)、ミコ(ミコライオ)にいい形でつなげられるように頑張って投げるだけです」

―― ビジターの球場でもカープファンの数がすごいですね。

「本当にありがたいです。関東に来ても、広島以上に声援をくださる時もありますし。『中田頑張れ』って声も聞こえてきます。ファンの応援はマウンド上で心強いです」

 リリーフだけでなく先発陣も前田健太、大瀬良大地、バリントンの3人が防御率ベスト10に名を連ねるなど充実。強かった80年代を彷彿させる「投手王国」が完成した。

 一方、攻撃陣は……。4月24日現在、チーム打率.251はリーグ5位。しかし、初回に得点を挙げた試合が22試合中9試合あり、特筆すべきは主力選手たちの得点圏打率だ。

 ここで主力打者のシーズン打率と得点圏打率を見てみたい(4月24日現在)。

エルドレッド/シーズン打率.385→得点圏打率.435
菊池涼介/シーズン打率.313→得点打率.417
キラ/シーズン打率.286→得点圏打率.300
丸佳浩/シーズン打率.253→得点圏打率.313
堂林翔太/シーズン打率.208→得点圏打率.455
廣瀬純/シーズン打率.282→得点圏打率.333

 少ないチャンスを確実にものにする今季の広島の戦いを象徴している数字だといえる。この要因について、廣瀬純は次のように語った。

「ブルペンが確立しているので、『ここで得点すれば主導権をつかめる』という雰囲気が野手陣にあります。大事な場面での集中力がより高まっています。それがいい結果につながっているんじゃないですかね」

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