プロ初勝利へ。楽天・松井裕樹が取り組むべき3つの課題

  • 山村宏樹(元楽天イーグルス)●文 text by Yamamura Hiroki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 楽天のゴールデンルーキー・松井裕樹が、開幕からローテーションに入るも、なかなか思うような結果を残せていません。彼の投げる球は本当に素晴らしいですし、間違いなくプロで通用するボールだと思います。しかし、今の松井には投手としてやらなければいけないことがたくさんあります。簡単に言えば、「打者に投げるだけが投手ではない」ということです。4月9日に登板した日本ハム戦は、彼が今、取り組むべき課題が浮き彫りになった試合だったといえます。

松井裕樹は次戦のソフトバンク戦でプロ初勝利を挙げることができるのか注目だ。松井裕樹は次戦のソフトバンク戦でプロ初勝利を挙げることができるのか注目だ。

 プロ初勝利を目指して敵地・札幌ドームのマウンドに松井が上がりましたが、結果は4回途中、打者17人に86球を投げて、被安打3、四球5、奪三振7、失点2という内容でした。残念ながら負け投手となり、開幕から2連敗となりました。

 初回から腕の振りもよく、二死一塁から一塁走者の西川遥輝をけん制で誘い出してアウトにするなど、冷静さもありました。味方が先に1点を取ってくれた直後の2回裏も、先頭の中田翔にヒットは打たれましたが、後続を三者三振。ボールの勢い、キレとも抜群でした。2回を終えた時点で、奪った6個のアウトのうち三振が5個。球速も最速146キロをマークするなど、彼の特長である腕の振りの良さも十分発揮できていたと思います。

 ところが、異変が起きたのは3回でした。先頭の大野奨太にはアウトにはなりましたがセンターへの大飛球。続く、岡大海にもセンターへフライを打たれました。

 私はこのふたりへの投球を見て、「ボールの力がなくなってきたな」と感じました。下位打線に対し、簡単に外野までボールを飛ばされていたからです。立ち上がりのボールなら、外野に飛ばすどころか、バットに当てることも難しかったと思います。下位打線だからといって、松井が力を抜いて投げていたようにも見えませんでしたから、明らかにボールの質が変わったのだと思います。

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