4年ぶり単独首位。オリックス快進撃は「春の椿事」じゃない (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki

 では、チームのベースになる投手力はどうか。

「エースの金子と西はある程度計算できると思っていましたが、よくなったのはディクソンですね」

 プロ野球解説者の吉井理人氏はディクソンの変身に驚く。

「今年はキャンプの時から調子がよかった。昨年まではツーシームなど、動くボールが主体だったのですが、今年はフォーシームのストレートに力強さが増した。それに、彼の武器であるナックルカーブも、ほとんど低めにコントロールされている。この状態を維持できれば。10勝は間違いないでしょうね」

 もちろん、エース・金子のコンスタントな活躍も、上位を争うための絶対条件となる。昨年15勝を挙げ、奪三振のタイトルを獲った金子は、今年も2試合目の登板となった4月4日のライオンズ戦で被安打2、奪三振14の内容で完封勝利を飾るなど圧巻の投球を見せた。

「金子はどの球種もレベルが高く、ストレートも独特のフォームから素晴らしいスピンの利いたボールを投げる。でも、彼の一番すごいボールはチェンジアップです」

 吉井氏によると、金子のチェンジアップは誰も真似できない独特のものだという。

「右投手が右打者にチェンジアップを投げる場合、真ん中か内角に落とすようにコントロールするのが普通なんです。ところが金子は、右打者の外角にしっかりコントロールして投げることができる。これは日本ではできる投手がほとんどいない高等技術です」

 日本どころか、メジャーでも金子のように右打者の外角にチェンジアップを投げられる右投手はほとんどいないという。

「チャレンジする投手はいるのですが、難しすぎてみんな諦めてしまう。僕の記憶では、外角にきちんと投げることができたのは、グレッグ・マダックス(※)ぐらいですね」

※1986~2008年までアトランタ・ブレーブスなどでプレイし、メジャー通算355勝

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