プロ入り後、1637打席本塁打ゼロ。ロッテ・岡田幸文の挑戦 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

―― 今さらですが、ホームランを意識させてしまって、もしバッティングに悪影響が出てしまったら申し訳ございません。

「大丈夫です。全然、意識してないですよ(笑)。ホームランを打ったら、自分の持ち味である足を生かせませんし……。出塁して、相手バッテリーにプレッシャーをかけ、塁間を駆けめぐる。それを貫きたい。そのために強い打球をしっかり打つ! 低い打球を打つ! その結果、たまたまホームランになってくれればいいですけどね」

 ロッテ期待のルーキー・井上晴哉は、オープン戦第1号をバックスクリーンに叩き込んだ試合後、「岡田さんのひと言が大きかった」と言った。

―― 井上選手にはどんな言葉をかけたのですか。

「その前の2打席で打てなくて、スイングルームで『どうして打てないんだろう』っていう表情をしていたんです。だから、『誰もが毎打席ヒットを打てるわけじゃない。開き直りも大事だよ。シーズンは長いんだから』と。そうしたら『そうっすよね』という言葉が返ってきて、結果、ホームランですからね」

―― あのホームランを見られてどうでしたか。

「キャンプから見ていましたけど、アイツのパワーは他の選手とは違いますよ。アイツが打撃練習している時によく外野で守っていたのですが、打球がなかなか落ちてこないんです。あんなパワーを持った選手は、ここ最近いませんでした。でも僕は、強くて低い打球を打つだけです!」

 ロッテ外野手のレギュラー争いは熾烈で、岡田は控えで開幕戦を迎えた。ここまで(4月2日現在)2試合に出場、4回打席に立ち、記録は1637打席まで伸びている。このまま、3千打席でも5千打席でも記録が続けばいいなと思う。もちろん、意地悪な意味では決してない、。なぜならば、岡田幸文という選手は、12球団トップと言われる守備と、積極果敢な走塁だけで十分にファンを呼ぶことのできるプロフェッショナルなのだから。際立つ個性を放つ選手だからこそ、自らのプレイに徹してもらいたい。心からそう願っている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る