監督にも迷い!? このまま大谷翔平は「三刀流」を目指すのか? (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 青柳憲司●写真 photo by Aoyagi Kenji

 大谷は金子から去年、5打数3安打、ホームラン1本を打っている。とはいえ、いかに相性がよくても、開幕から金子の投げたすべてのストライクを振っていける大谷の積極性には目を見張るものがある。7回途中まで119球を投げた金子だが、4打数2安打を打たれた大谷には、なんと、たったの6球しか投げていないのだ。それでも試合後の大谷は浮かない顔でこう言っている。

「(バッティングの状態は)今の時点ではいいかなと思いますけど、どんどん配球も変わってくると思いますし、その都度、(こちらのアプローチも)変えていきたいと思っています。とくに平野(佳寿)さんと対戦した打席みたいに、ああやって厳しいボールを初球から続けてくる形も多くなると思うので、その場合は一球見送ったりとか、様子を見ることも必要かなと思ってます」

 平野から三球三振を喫した9回裏の打席。初球、低めのボール球となるフォーク、2球目はミットの手前でワンバウンドするフォーク、3球目はさらに手前でワンバウンドするフォーク。3球、フォークを振らされて、為す術もなく打ち取られた。試合後の大谷は打った打席よりも、その打席を反省していた。そのことにも恐れ入る。

 延長12回、チームはサヨナラ勝ちを果たしたというのに、大谷が浮かない顔をしていた理由はもうひとつあった。

「個人的にはクッションミスとか、いろいろあったかなとは思うので、そういうところを詰めていければ、もしかしたらもっと早く勝てたかもしれないですし、そういうところはしっかりやりたいなと思います」

 1点リードの9回、ツーアウト1塁から、糸井が打ったライト線への当たり。大谷はフェンスに当たった後のクッションボールの処理にもたついて、同点のランナーを一塁から生還させてしまった。

 じつはその直前、9回表の先頭バッターが打ったセンターへの当たりを、大谷は追い過ぎた。陽岱鋼が手を上げていたのにもかかわらず、ライトの大谷が陽の捕るべきボールを強奪したのだ。おいおい、声出せよ、と言わんばかりの陽岱鋼に、大谷も苦笑いだった。ところがその直後、苦笑いでは済まされないプレイが飛び出したとあっては、大谷が守りの面で満足できなかったのもやむを得ない。いかに実戦が不足していたとしても、だ。

 二刀流の大谷、その2年目は高卒の野手として史上初の2年連続マルチヒットという快挙で幕を開けた。バッティングは申し分ない。そして、守りでは手痛いミスを犯した。さて、ピッチャーとしての大谷はどうだろうか。第二幕は来週、福岡で幕が開く──。

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