【プロ野球】1年の計は開幕戦にあり。ゲンを担ぐ選手、担がない選手 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 青柳憲司●写真 photo by Aoyagi Kenji

中島卓也(日本ハム/内野手/23歳)

「開幕だから特別こうしようとかないっすね(笑)。開幕戦も試合が始まればちょっとは緊張するとは思うんですけど、試合前は……そうっすね、いつもと一緒ですね。シーズン初打席は、うーん……一軍にデビューした時は緊張しましたけど、今はないです。とにかく、自分のできることをやっていくだけです」

則本昂大(楽天/投手/23歳)

「特別に何かを食べるということはしません。開幕前にすることは、『1年間よろしく』という意味を込めて、スパイクとグラブを磨きます。それをしている時は、不思議と落ち着くんですよね」

押本健彦(ヤクルト/投手/32歳)

「開幕が近づくと、嫁から『何か食べたいものある』って聞かれますけど、そういうことに興味がないから『いつも通りでいいよ』と。実家が理髪店なので時間があれば散髪に行きたいんですけど……。中継ぎの性質上、感情の起伏を作りたくないんです。普段の生活のリズムのまま開幕を迎えたい。だから、これといったゲン担ぎをしたことはありません。でも、開幕戦はドキドキしますよ。初登板は早い方がいいです。間隔が空くほど緊張感が強くなってきますから。だからといって、開幕戦に投げたいとは思わないですね(笑)」

中村悠平(ヤクルト/捕手/24歳)

「寮で生活していた頃は、いつも通り寮で食事をして、開幕当日の昼はうどんを食べていました。今は結婚したので嫁さんに作ってもらうのですが、僕は手巻き寿司が好きなので、開幕の日に出てきたら嬉しいですね。開幕前にすることは、味方ピッチャーの特徴をもう一度おさらいします。長所や短所を把握しておきたいので。去年、初めて開幕戦に出場させてもらったんですけど、野球人生でいちばん緊張してしまい、開幕戦と書かれたホワイトボードのラインアップに自分の背番号を見つけた時、『あっ!』と思ったことくらいしか覚えていないんです。今年の開幕戦は出場が厳しそうですが、しっかり自分らしさを出していきたいですね」

石川雅規(ヤクルト/投手/34歳)

「開幕前日の食事はカーボローディング(※)じゃないですけど、炭水化物を多めにとります。鯛のおかしらつきですか? そういうのは全然ありません。そういう話はよく聞きますけど、鯛を食べて勝てるんだったらやってみたい(笑)。でも、何年か前に嫁さんが鯛を出してきたことがありました。『そういうのは特にいいよ』って言ってから出なくなりましたけど(笑)。開幕を控えて特別な準備はしないですし、それはルーティンを守るためかといえばそうでもない。僕はルーティンとか、特にないんです。自分のやりたいことをやるだけです。これまで開幕投手を7回務めましたが、開幕戦は本当に独特の緊張感があるんですよ。慣れることはないです。バッターの集中力がオープン戦とはまるで違う。特に1打席目。そういう意味でオープン戦の成績は全然アテにならない。マウンドに立ってボールを投げればあとは一緒なんですが、正直、初回が終わるとホッとしますね。あとは投げていくうちに、体がいろいろと思い出してくれます」

※カーボローディングとは、運動エネルギーとなるグリコーゲンを通常より多く体に貯蔵するための、運動量の調節および栄養摂取法。

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