「大卒ルーキーには負けられない」。
高卒5年目の男たちがブレイク中

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 もうひとり、高卒5年組の中で、オープン戦で結果を残している男がいる。打率.393(9位)の筒香だ。将来の大砲と期待された筒香だが、プロ4年間の通算成績は打率.222、20本塁打。昨年はわずか23試合の出場にとどまった。チームはオフにオリックスから三塁手のバルディリスを獲得。筒香は定位置だった三塁から外野へのコンバートを余儀なくされた。

「置かれている立場は厳しいですけど、何とか結果を残して、レギュラーをつかむしかない。このままでは終われない」

 少ない言葉に決意をにじませた筒香。世代最強打者と言われた筒香の逆襲が始まろうとしている。

 大卒1年目の選手に負けられない気持ちを持っているのは、上位の選手たちだけではない。横浜DeNAの眞下貴之も5年目の今シーズンに並々ならぬ意欲を燃やしている。東海大望洋から2009年にドラフト4位で横浜に入団した眞下は、高卒1年目の2010年9月にプロ初登板初先発のチャンスをもらい、7回途中を2失点と好投を見せて「将来のエース候補」と期待を背負った。しかし、翌年にプロ初勝利を飾ったものの、2012年から2シーズン連続で登板なしに終わる。投球フォームを模索し続け、気づけば隘路(あいろ)にはまり込んでいた。

 2014年2月1日、沖縄県宜野湾市で春季キャンプをスタートさせた一軍から離れ、二軍の本拠地がある神奈川県横須賀市で始動した眞下は、自分に言い聞かせるように言葉を紡(つむ)いだ。

「周囲からずっと、『期待している』と言われてきました。でも期待を裏切ってばかりだったので、『何やっているんだろう、自分は』って思いながら、モヤモヤしている部分があったんです。でも今年は背番号も変わって(47→64)、心機一転ですね。4年間大学に行ったと思って、ここがプロ1年目くらいの気持ちでやりたい。でも、そうは言ってもプロで4年間やってきているので、負けられない部分はあります」

 今季、大学からプロに入ってきた主な選手は、大瀬良大地(長崎日大→九州共立大→広島ドラフト1位)、九里亜蓮(岡山理大付→亜細亜大→広島ドラフト2位)、岩貞祐太(必由館→横浜商大→阪神ドラフト1位)、杉浦稔大(青森山田→国学院大→ヤクルトドラフト1位)、西浦直亨(天理→法政大→ヤクルト2位)、山川穂高(中部商→富士大→西武ドラフト2位)、吉田裕太(日大三→立正大→ロッテドラフト2位)たちだ。

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