巨大戦力のソフトバンクで輝く、小兵・今宮健太の存在感 (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro

 それを踏まえた上でのオフの努力が冒頭の好評価につながっているのだが、今宮の変化について誰よりも敏感に気づいていたのが、"鷹のヒットメーカー"内川聖一だった。

 同じ大分県出身のふたりは、一緒に自主トレを行なっている良き師弟関係だ。内川は今宮の成長を次のように語った。

「以前までは、自分の考えがなく、僕のやり方をすべて真似していただけのように映っていましたが、今年は自分のやりたいこと、考え方がはっきりとしていた」

 その中で特にポイントに挙げたのが右足の使い方だった。

「右膝の向きですね。昨年までは打ちに行く時に前に折れて体が突っ込んだようになっていましたが、今はしっかりつま先の方向を向いていてボールの待ち方が良いですね。これならば軸のブレが少なくなるのでボールも見えやすくなるし、ちょっとしたタイミングのズレが生じても対応できるようになる。確率は上がるかなと思いますよ」

 2月22日、23日のオープン戦2試合で、7打数3安打2四球と上々の滑り出しを見せた今宮。昨季は、かつてヒットした映画のタイトルから『おくりびと』と呼ばれたバント名人だが、今季はチャンスメーカーもできる2番打者として、目指すはフルイニング出場である。

 今宮は巨大戦力を誇るソフトバンクにあっても、代わりの効かない存在だ。だからこそ、内野の要であるショートのポジションを、今宮が1年間守り切ることが、ソフトバンク日本一奪還への最低条件となる。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る