虎の守護神候補・呉昇桓は藤川球児を超えられるか? (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 韓国でも原則的に9回のみの登板が前提だった。昨年も48試合の登板のうち、2連投が6回、3連投以上はゼロと、無謀な使い方はされていない。だが前述したように、登板した4分の1がイニングまたぎでの起用だった。これは一昨年、落合英二(元中日)がサムスンの投手コーチを務めていた頃から、「4アウトを任せる」という申し合わせがあったからだ。つまり、8回二死からの登板。2イニングはさすがにきついが、プラス1アウトなら呉の負担にはならない。ここが呉の“本当の持ち味”なのだと思う。

 9回限定にこだわり、8回に他の投手を挟んだ挙句に失点すれば、呉を使い損ねることにもなりかねない。だからこそ首脳陣には思い切った起用法が必要になる。それが呉を十分に生かす方法であり、同時に他のブルペン投手を楽にさせることにもつながる。ただし、阪神という注目度が高いチームで、そうした“セオリー外”の起用をする度量が首脳陣にあるかどうか。藤川を超えるだけの素養を、呉が持っていることだけは間違いない。それだけに、呉を生かすかどうかは、首脳陣にかかっていると言っても過言ではない。

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