楽天・嶋基宏が語った「松井裕樹と田中将大のスライダーの違い」

  • 山村宏樹(元楽天イーグルス)●文 text by Yamamura Hiroki

 いかに松井のスライダーが特殊なボールなのかがよくわかりました。そのボールを生かすために何が必要かを聞くと、嶋はこのように答えてくれました。

「例えば、右バッターの外に逃げていくボールがあれば、ピッチングの幅は格段に広がると思います。そのためにも、チェンジアップをうまくコントロールできるようになってほしいですね。チェンジアップの精度を上げることができれば、本当に楽しみなピッチャーになります」

 松井に対する期待の高さ、可能性の大きさは十分に確認できました。でも、最後に嶋はこうも語っていました。

「まだ高校生ですし、変なプレッシャーを背負わせたくない。そのためには、もっと他の投手に頑張ってもらいたい」

 特に、嶋が言っていたのは、「若いリリーフ投手が出てきてほしい」ということでした。松井に注目が集まる中、若い投手たちは激しい競争を繰り広げています。宮川将、福山博之、菊池保則あたりの若手が、斎藤隆さんや小山伸一郎を脅かすようになれば、リリーフ陣はより厚みを増します。嶋が、「リリーフ陣が固まれば、松井は先発として経験を積ませられる」と言っていましたが、大型ルーキーが投げやすい環境を整えてあげることは、チームの重要課題だと思います。松井には先発として大きく育ってもらいたいと、誰もが思っているはずですから。

 これから実戦での登板が増えてくると思いますが、どんなボールを投げ、どこまで通用するのか、楽しみでなりません。いずれにしても、近い将来、楽天の投手陣を引っ張っていく存在になることは間違いないので、今年1年でどこまで成長するのか、温かく見守りたいですね。

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