常勝チーム復活はあるか? ファンが見た「新生ドラゴンズ」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 次にブルペンに移動すると、大勢の報道陣が集まっていて、「もう150球は超えた?」「軽く超えている」と、そんな声が飛び交っている。話題の中心は、期待の2年目左腕・濱田達郎だ。その濱田の球を谷繁監督が受け、その投球を落合GMが腕を組んで見守っている。結局、濱田は谷繁監督を相手に200球を投げ切り、それを見届けた落合GMは、横で投球の準備をしていた朝倉健太にひと声かけて、ブルペンから姿を消した。

 200球を投げ切った濱田に話を聞いてみた。

―― キャッチャーは谷繁監督。その後ろでは落合GMがピッチングを見守っていました。監督とGMに挟まれての200球。どんな心境でしたか?

「やっぱり、いいところを見てもらおうと、力んでしまう部分はありました。でも、第1クールの時よりはいいピッチングができたと思います。谷繁監督からは『変化球はコースを狙うより、まずは真ん中にストライクを投げろ』と言葉をいただきました。自分のピッチングに最後まで付き合ってもらって感謝しています」

 落合GMはランチ後のフリーバッティングの時、スーッとグラウンドに現れ、小笠原道大、森野将彦、荒木雅博のバッティングを見つめていた。すると、解説者として取材に来ていた前田智徳氏(元広島)を見つけると、「こっちに来い!」と呼び寄せ、何やら話し込んでいる。前出の佐藤さん夫妻は、そんな落合GMの活発な動きを喜んでいる。

「そもそも、落合GMはキャンプに来ないと思っていました。黒子に徹するって言っていましたし......。それが谷繁監督に打撃指導したり、毎日ブルペンに足を運んだり、ユニフォームは着ていないけど監督みたい(笑)。おそらく、今の選手たちの力量を見極めているのだと思います」

 今回のキャンプで落合GMの存在感は圧倒的だった。選手の練習を見て、ただ頷(うなず)くだけで、何か意味があるように思えてしまう。とはいえ、2014年の指揮を執るのは谷繁である。間もなく実戦が始まるが、「どんなものが見ていてください」という谷繁采配もベールを脱ぐ。「早く中日の試合が見たい」――そんな気にさせられる北谷でのキャンプだった。

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