「今年こそAクラス」。ベイスターズファンは信じている

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 三上さん(44歳/男性)は会社の転勤で沖縄に在住しているが、生まれ育ったのは神奈川県川崎市。ベイスターズの前々身の大洋ホエールズ時代からのファンだ。ベイスターズのキャンプには奥様と一緒に5年ほど通っている。

「望むのは優勝。これは毎年変わりません。今年のキャンプは国吉祐樹(22歳/投手)が二軍スタートで寂しいですね。毎年、キャンプのブルペンではいいボールを投げていましたね。でもシーズンが始まってテレビで見ると『あれッ?』って。今年こそと期待しているんです。今日は紅白戦で投げるようなので楽しみです」

―― でも今年の秋も、いつものように"消化の秋"になるのではと考えたりは......。

「ベイスターズのファンは基本的にポジティブじゃないとできませんよ(笑)。私も長くファンをやっていますけど、今年初めてファンクラブに入りました。応援する側からパワーを伝えようと。1998年の優勝の時に使ったパレード用のバスもあれきりですからね(笑)。優勝してあのバスをまた走らせないと」(三上さんの奥様)

 荒川さん(51歳/男性)はバックネット裏で、選手の打撃練習をジーっと見つめていた。「どちらか来られたのですか?」と聞くと、「横浜です」と当たり前じゃないかと言わんばかりの表情で答えてくれたが、キャンプ地を訪れたのは初めてだという。「結婚25周年という記念でもあったから」と、横に座る奥様の方を照れくさそうに見た。

「今、若手が打撃練習をしているけど、もう少しパワーが欲しいね。期待しているのは白崎浩之(23歳/内野手)と松本啓二郎(27歳/外野手)だけど、ベイスターズの課題は投手陣ですから。まだ、ピッチングを見てないから何とも言えないですけど、理想は20代中心のローテーションですよね」

 荒川さんは40年以上のベイスターズファンだが、優勝を肌で感じたことがない。

「私が生まれる2年前(1960年)に大洋が優勝して、1998年にベイスターズが優勝した時は、転勤で広島に暮らしていたからね。今年こそ? 優勝は無理でしょう。98年の優勝の時も、前年は2位で前兆があったからね。もちろん優勝してほしいですけど、希望としては3位(笑)」

 さて、FAで入団した久保は先日、「80勝すれば優勝できる」とコメントした。ご家族3人で東京から訪れ、宜野湾キャンプはもちろん、二軍の嘉手納キャンプにも行くほど熱烈なファンの福田さん(41歳/男性)は、「自分も、計算上では毎年80勝以上しているんです。去年も、中日に開幕2連勝した時は『今年は違うぞ!』と思いましたが、交流戦前にやっぱりダメになった。いつも期待しすぎてガッカリしてしまうので、今年は順位をひとつ上げて、4位になってくれればいいです」と語った。例年と比べて、好材料が揃っているのに実に控えめなご意見だ。

「ピッチャーは久保と尚成を獲得しましたが、ベイスターズがFAなどで獲った投手は活躍していないんですよ。小宮山悟とか寺原隼人とか......。打線も、今年から外野にコンバートされた梶谷には3割、30本塁打、30盗塁を期待したいですけど、古木克明(2009年にNPBを引退)や吉村裕基(現ソフトバンク)のようにならなければいいですけど......。彼らも将来を嘱望されていましたが、内野から外野にコンバートされて伸び悩みましたから」

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