日本一を予感させる斎藤佑樹の復活と大谷翔平の覚醒 (4ページ目)
ずっと斎藤と二人三脚で目指すべきフォームを追求してきた中垣征一郎トレーニングコーチも、こう言っている。
「投げられるボールの最大値は確実に上がってきている。あとはその確率をいかに上げていくか。体重移動をしながら、ポンと切り返すタイミングさえ合えば、いいボールは行くんです。力むんじゃなくて、自然にもう少しボールを押し込めるようなタイミングで切り返せれば……あと少しだと思うんですけどね」
現時点での期待値は先発の6番手でも、今の斎藤を見る限り、もう少しハードルを上げてもよさそうな気がする。その点は、栗山監督も同じ考えのようだ。
「日本一から逆算する中に、間違いなくイメージはあるよね。斎藤佑樹が復活して、みんなが涙するような感動的な試合があって、そこから日本一に向かってチームがグワーッと盛り上がる。そんなイメージがあるんだよ。これはね、斎藤のためとかじゃなくて、チームが勝つために生かさなくちゃならない、彼の持っている力なんだと思う。佑樹には間違いなく、そういうプラスアルファの力があるからね」
たかが紅白戦、されど紅白戦。
スタンドはいっぱい、最上段には立ち見の人がズラリと並ぶ。斎藤佑樹と大谷翔平が先発すると早くから報じられていた2月8日の名護、ファイターズの紅白戦に足を運んだ観客数は3000人と発表された。しかし球場には、数字からでは想像できない熱気と緊張感が漂っていた。
先にマウンドに上がったのは大谷だ。
2月1日のブルペンでのバランスの悪さを思えば、彼の修正能力の高さは計り知れない。指に掛かったときのストレートの威力はバットを押し込み、バットをへし折る。高めに伸びれば、バットはいとも簡単に空を切り、低めに投げればバットには当たるものの力ないゴロが内野の前に転がる。ヒットを2本打たれ、フォアボールを一個与えたものの、2回、25球を投げて、失点ゼロ。大谷自身はこの日の内容について、こう話している。
「まっすぐはイマイチでした。高めのボールはしっかり指に掛かっていましたけど、低めのボールはたまたまバットの先っぽに当たってゴロになっただけで、沈んでしまっていたと思います。これから低めへも威力のある球をしっかり増やしていければいいなと思います」
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