日本一を予感させる斎藤佑樹の復活と大谷翔平の覚醒

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

 投手として11試合に先発、3勝0敗、防御率4.23。
 野手として、204打席に立ち、打率.238、3本塁打、20打点。

 これが"二刀流"、大谷のプロ1年目の成績である。

 いかにも中途半端な数字だという声が聞こえてくるが、そんなことはない。高卒1年目のダルビッシュ有は14試合に先発、5勝5敗、防御率3.53。高卒1年目の松井秀喜は203打席に立って、打率.233、11本塁打、27打点だ。大谷は、このふたりのプロ1年目とほぼ同じ数字をひとりで叩き出したのだから、二刀流のパイオニアとしては十分すぎる結果だった。

 その結果、大谷の現在地はチームからこのように判断された。

 野手としては、今のままで十分、一軍のレギュラーとして結果を残せるレベルにある。
 投手としては、今のままでは一軍のローテーションを守るだけのレベルに達していない。

 じつは栗山監督は、大谷がファイターズ入りを決めた瞬間から、そう考えていた。大谷をドラフトで指名した直後、栗山監督がこう言っていたことがある。

「野手としては早い時期に結果が出ちゃう。ピッチャーとしては時間がかかる。だから、ピッチャーをメインに考えたいと思っているわけ。バッターはすぐにでもできるからね。彼はセカンドでもレフトでもライトでも、すぐに守れるよ。打つ方も慣れちゃえば、すぐに打っちゃう。だからピッチャーをメインに考える。そうしないと、バッターが優位に立っちゃうでしょ」

 極端な言い方をすれば、昨シーズンの栗山監督は、大谷に対して抱いた直感を確かめたに過ぎなかったのではないか。実際、1年目の大谷は野手としての能力の高さを見せつけた。同時に、投手としての底知れぬ器の大きさも感じさせた。

 だから、2年目のハードルは一気に上がる。

 先のふたりで言えば、ダルビッシュの2年目は25試合に登板し、12勝5敗、防御率2.89。松井の2年目は全試合に出場し、打率.294.ホームラン20本、打点66。

 1年間、ローテーションを守ると、約25試合に先発する。そのうちの半分以上に勝ち星がつけば、大谷は2年目のダルビッシュを上回り、栗山監督の言う「日本一から逆算」するのに必要なだけの結果をチームへもたらすことになる。

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