【プロ野球】2014年に懸ける崖っぷちの男たち (2ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Nikkan sports

 ふたりのベテランが新天地で挑戦を続ける一方で、ソフトバンクの松中信彦(40歳)は入団18年目となる慣れ親しんだユニフォームで再起をかけている。

 昨季の一軍出場はわずか9試合。6月の交流戦優勝セレモニーに参加しなかった懲罰で出場選手登録を外されて以降、再び一軍に呼ばれることはなかった。今季の年俸は3500万円。ピーク時の5億円から比べると約14分の1まで下がった。

 それでもこのキャンプでは「競争に勝って開幕スタメン出場する」と意気込んでいる。通算2000本安打にも残り237本。輝きを取り戻そうと必死に汗を流す、かつての三冠王にとって今季が背水の陣となる。

 追い込まれているのは、ベテランだけではない。オリックスのT-岡田(26歳)にとっても、今季は土俵際のシーズンになる。

 履正社高から入団して5年目の2010年に33本でパ・リーグ本塁打王のタイトルを獲得し、その後の活躍を大いに期待されながら、2011年は16本、2012年は10本。そして、昨年はわずか4本と下降線をたどった。シーズンオフは体質改善に取り組み、104キロあった体重を98キロにまで絞って、キャンプ地の沖縄・宮古島に降り立った。キャンプでのテーマは、「振り込む」。体のキレが戻ったせいか、自信の表情を浮かべる。

 3日に行なわれた紅白戦では本塁打を含む3安打とアピール。それでも「結果が出たことは良かったけど、納得はしていない」と慢心はない。

 オリックスは昨シーズン4番だった李大浩(イ・デホ)がソフトバンクへ移籍。新たに、昨年までソフトバンクに在籍していたペーニャと、メジャー通算80本塁打のベタンコートを獲得したが、4番はまだ決まっていない。「キャンプでしっかり結果を出して、レギュラーの座を取り返す」と語るT-岡田。外国人選手との競争に勝って、再びレギュラーとして輝くことができるのかどうか、T-岡田のバッティングから目が離せない。
 
 故障や手術を乗り越えて、再起にかける選手も多い。右肩の故障で過去2年間は投げることさえできなかったヤクルトの由規(24歳)。同じヤクルトの館山昌平(32歳)や、中日の吉見一起(29歳)は右肘手術からの復活を目指している。また、ソフトバンクの大隣憲司(29歳)は、国指定の難病・黄色靱帯骨化症手術からのカムバックを誓っている。

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