楽天・立花球団社長が語る「大物メジャーリーガーを獲れる理由」

  • 中島大輔●構成 text by Nakajima Daisuke
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

―― 交渉の時はどんな話をしましたか?

「ユークはレッドソックス時代に松坂大輔投手(メッツ)と一緒にプレイしていて、彼の話になりました。『すごくいいヤツだし、好きだけど、メジャーで成功しなかった理由は、一生懸命投げすぎるからだと。野球のシーズンは長いし、ずっと100%で投げることは不可能。ハイパフォーマンスを出すためには、バランスを取ることが重要だ』と話していましたね。野球に対する考え方を聞くと、すごくマジメで、ストイックです」

―― 楽天という球団のことは?

「かなり知っていました。AJからかなり情報を聞いていたみたいで、日本球界の特徴や仙台の街までよく知っていました。球団の経営方針もすべて受け入れてくれましたし、お金の話はほとんどしませんでした。ただ、日本とアメリカでは文化が全然違うので、それはすごく説明しました。ユークもAJと一緒で、日本の野球をなめていないんですよ。それが僕にとってはすごく重要なポイントです。『メジャーと比べて、日本はレベルが低い』と思っていたら成功しないと思います」

―― 交渉はスムーズに行きましたか?

「最初から『地元(シンシナティ)の球団からオファーが来たらメジャーに残る』と言っていましたので、問題はそこだけでした。でも、彼は正直に話をしてくれますし、信頼できる人だなと思いました」

―― 球団はどこまでバックアップするんですか?

「統括本部長の安部井寛とチーム戦略室室長の佐々木亮人は英語がペラペラで、外国人選手と頻繁に連絡を取っています。そういう人間が責任を持ってしっかりやれば、彼らには部下がたくさんいますから、様々なサポートができると思います」

―― 楽天本社は公用語が英語ですが、球団としての英語に対する考え方を教えて下さい?

「野球団という会社なので、業務をどこで切るかが難しい部分があります。ただ、新卒にはTOEICを課しています。社内のみんなにも、『英語を話せるように』とは言っています。『ひとつの職業体で終わるのではなく、ぜひやってほしい』という話はしていますね」

―― そうした姿勢が、ジョーンズ選手やユーキリス選手の獲得につながっている気がします。

「ひとつ言えるのは、うちは明らかに他球団と姿勢が違う気がします。良い、悪いの話ではなく、違うということです。外国人選手と役員クラスの人間が英語で普通に話す会社は、なかなかないと思います。外国人選手の話はダイレクトに聞いたほうがいい。あれだけ投資したんだから、試合に集中してもらわないとしょうがないじゃないですか」

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