谷繁元信が語る「選手を引退するときの基準」 (2ページ目)

  • キビタキビオ●構成 text by Kibita Kibio
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

野村 選手としてのシゲ(谷繁)については、まず体が元気でなくてはいけないと思う。個人的には、144試合に出場して、監督としても1年間やりきった姿を見てみたい。

谷繁 それは厳しいですよ。120試合を目標に頑張ります。だって、25年間で全試合に出場したのは一度もないんですよ(笑)。

野村 でも、全試合出るという目標を持ってよ。120試合って思ったら、100試合しか出られなくなるから。

谷繁 いや、120試合出るって言ったら、120試合に出ます(笑)。

野村 ところで、選手として「これができなくなったら引退だな」と思う基準みたいなものはある?

谷繁 フィジカル的にはまだまだできそうな感じがあるので、あるとしたらメンタルの方ですね。肩の方は、ピッチャーがクイックさえしてくれれば(盗塁を)刺せる自信はあります。

野村 キャッチングのうまさと捕ってからの早さは、まだ球界トップクラスだからね。

谷繁 これといって特別な練習をしているわけでなくて、身についているものをより早く動かそうとしているだけなんですけど、しっかりとしたポイントでボールを離せば、まだイメージ通りの送球ができます。ただ、盗塁を刺すのはピッチャーとの共同作業ですので、ピッチャーには今まで以上に指導しなくてはいけないと思っています。そこはピッチングコーチにもお願いして、昨年の秋季キャンプから徹底してやっています。

野村 クイックができると、ピッチャー自身も楽になるわけだからね。

谷繁 そうですよね。ランナーが二塁にいるか、一塁にいるかで、全然違うじゃないですか。

野村 でも、オレはけん制やクイックが大嫌いだったなぁ。あまり積極的にやっていなかったから、よくシゲに「クイックしてくださいよ!」って言われていたよね。

谷繁 言ってましたね(笑)。よく、エンドランやスチールがありそうなカウントで「けん制しろ」って言うじゃないですか。でも、いくら警戒してもピッチャーがモーションを盗まれれば決められるし、けん制をしたからって効果があるように思えない。それよりもクイックを覚えた方が絶対にいい。

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