山﨑武司×中村剛也が語る「バレンティンの60本塁打」 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 阿部卓功●写真 photo by Abe Takanori

山﨑 悪いなりにもオーバーフェンスするのがホームランバッター。芯でとらえればプロなら誰だってホームランになる。だけど、詰まろうがバットの先だろうがオーバーフェンスするのがホームランバッター。あと中村の場合は、性格的に淡々としているところも良いんだろうな。メンタルが強そうだし、「調子が悪いからダメだ」とはならないだろ?

中村 はい。あまり気になりませんね。

山﨑 三振しても打ち損じても、しょうがないと割り切れる。オレなんて、いつもどうしようって考え込んでしまっていたからな(笑)。そういう意味じゃ中村がうらやましいよ。

―― 山﨑さんは2013年シーズンで現役を引退されましたが、やはり決心するまでにかなり悩まれましたか?

山﨑 最初から白黒つけるシーズンだと思っていて、交流戦で一軍に復帰した時、再度二軍に落ちるようなことがあれば身を引こうと決めていました。そのタイミングが7月だったということで、あのとき発表しました。

中村 最初聞いたときは驚きました。

山﨑 調子自体は悪くないけどセールスポイントである長打が出なくなっていた。ここはもう仕方ない、と。少なからずプロとして名を残したから、引き際はきれいにしないと思いました。

中村 寂しいですね......。

山﨑 楽しい現役生活だったよ。2002年から2004年の3年間は挫折して辛かったけど、その後、楽天に行って中日に復帰した9年間は「野球やっているな」っていう気持ちになれた。あと、パ・リーグで野球ができたことは大きな財産になったよ。

中村 僕はパ・リーグしか知りませんけど......。

山﨑 パ・リーグは移動距離も長いし、球場も広いし、環境面においてセ・リーグと比べると厳しい部分がある。それでも野球人としていい経験になったことは間違いない。中村なんてセ・リーグ行ったら80本ぐらい打つんじゃないかな(笑)。だって、交流戦をやってみてわかるだろうけど、ダルビッシュ(有)や岩隈(久志)たちがいたころのパ・リーグと比べると、セ・リーグのピッチャーはレベルが落ちると思わない?

中村 セ・リーグにも良いピッチャーはいますけど、確かにダルビッシュや岩隈さんがいた時代は、交流戦が始まると気分的に楽だなって思ったことはありました。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る