FA制度、11年目のルール改正が選手の野球人生を変えた (3ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro photo by Getty Images

 2003年から2007年の5年間でFA宣言した選手は36人で、実際に移籍したのは21人。その半数が海外への移籍という、メジャーリーグ志向が強まった雰囲気の中、2007年の石井一久(ヤクルト→西武)のケースは特異なものだった。1991年ドラフトでヤクルトに入団した石井は、2001年オフにポスティングを利用してロサンゼルス・ドジャースに移籍。その後、2006年から2年契約で復帰したヤクルトでFA権を取得し、2007年オフに権利を行使して西武に移籍した。メジャーリーグから日本球界に復帰した選手が、国内他球団にFAで移籍という初めての事例となった。

 また、FA移籍の珍しい事例は、2005年、2006年に2年連続して起こった。1999年オフにFA権を行使して巨人に入団した江藤智、工藤公康が、新たなFA移籍の人的補償選手となったのだ。江藤は2005年にFA移籍してきた豊田清の補償で西武へ、工藤は2006年の門倉健の補償で横浜へ。こうした「玉突き移籍」は、両選手が長く現役生活を続けたことに加え、巨人がFAで補強を繰り返したからこそ発生したことであった。

 そして、誕生から10年目で改正されたFA制度は、15年目を迎えた2008年、再び手直しすることになる。取得年数や人的補償に関するルールなどが変更され、さらなる変化を遂げたのだ――。

※フリーエージェント20年史(4)に続く

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