阪神の新守護神、呉昇桓は本当にすごい投手なのか? (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke photo by Getty Images

 そうした意味で来季、8年ぶりのリーグ優勝を狙うには、呉昇桓が守護神として機能することが欠かせない。絶対的なクローザーの存在が、チームに計り知れない好影響をもたらすと、与田氏は指摘する。

「抑え投手やセットアッパーがしっかりしていると、9イニングでゲームセットのところが、実質的に8回、7回、6回と短くなっていきます。阪神に『JFK』がいたころ、対戦相手には『6回までにリードしなければ』というプレッシャーがかかっていました。抑えやセットアッパーの存在で、相手の反撃チャンスを1イニングでも短くできればプラスになる。呉昇桓の加入で、相手チームに『8回までに点を取らなければ』と思わせることができれば、阪神にとって非常に大きい」

 9回を確実に抑える投手がいれば、首脳陣は試合の流れを逆算して継投策を講じることができる。それほどチームにとって、クローザーの存在は大きい。

 2012年まで、守護神の役割を果たしたのが藤川だった。背番号22を引き継ぐ呉昇桓は、同じ役割を果たすことができるだろうか。

 前出の慎氏に聞くと、不敵な笑みを浮かべながら言った。

「阪神ファンは、藤川と同じ実力の選手が来ると思ってくれていい。呉昇桓は、それくらい実力があります。阪神は、絶対に呉昇桓の獲得を後悔しないはずです」

 鳴り物入りで来日する31歳の右腕が、V奪回のキーマンになることは間違いない。阪神はついに、真のクローザーを手に入れたようだ。

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