ベストナイン初受賞者「パは7人、セは0人」の異常事態 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 今シーズン限りでユニフォームを脱いだ山崎武司氏は、今回のベストナインの印象についてこう話してくれた。山崎氏は現役時代、中日と楽天でベストナインに合計3度選出されている。

「パ・リーグはやはり楽天の選手が中心になりましたね。田中は文句なし。そして藤田が評価されたことが、本当に嬉しい。彼は守備の人と見られがちだけど、いい場面で打っていましたからね。一方のセ・リーグは、外国人選手やベテラン選手の活躍が目立ち、若手選手が彗星のように現れることもなかった。言ってみれば、順当な結果だったと思います。ただ、ピッチャーに関しては、ヤクルトの小川(泰弘)でもよかったのかなと思いますけど......」

 今回、ベストナインに選ばれたセ・パそれぞれの平均年齢は、セ・リーグの30.6歳に対して、パ・リーグは27.4歳(指名打者のアブレイユを含めると28.1歳)。セ・リーグにはリーグを代表するベテランが多く並び、西岡も過去にパ・リーグで3度ベストナインに選ばれていることを考えると、実質的に初受賞者はいないといえる。また、捕手の阿部は2年連続最多得票で受賞するなど、ライバル不在の状況が続いている。

「正直、『阿部じゃなければ誰?』というほど、名前が出てこない。これはパ・リーグにも言えることかもしれないですが、安定した力を発揮できる捕手がいない。だから今年、FAした鶴岡慎也や山崎勝己といった、磐石のレギュラーでない捕手にも注目が集まるんです」

 それに対しパ・リーグは、初受賞者が7人とフレッシュな顔ぶれが並んだ。浅村は23歳にして西武の4番を任され、打率.317、27本塁打、110打点で打点王を獲得した。また、2年目のロッテ・鈴木は144試合にフル出場し、高い守備力と両リーグ最多となる11の三塁打を放つなど、好守に活躍した。鈴木は「松井稼頭央さんより、(票数が)多いってすごいことですよね」と初受賞を喜んだ。前出の田中も25歳だし、中田も24歳。なぜ、パ・リーグは新鮮な顔ぶれが並び、セ・リーグはおなじみの顔ぶれになったのか。

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