首位から最下位へ。日本ハム転落の「真相」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 若手の起用で言えば、大谷翔平の“二刀流”はチームにどんな影響を及ぼしたのだろうか。まず投手での成績を見ると、先発として11試合、リリーフで2試合に登板し、3勝0敗、防御率4.23。先発としてはいわゆる“谷間”で起用され、時には中16日、次回は中7日と登板間隔が一定ではなかった。このズレが、先発陣全体に微妙な影響を与えたことも考えられる。

「13年のファイターズは先発ローテーションがどう回っているのか、はっきり分からない印象でした。そうなると、ピッチャーは調整するのが難しい。そういう意味では、多少影響があったと思います。スターターが足りないチーム状況でしたから、大谷をもっと先発させても良かったと思います」(吉井氏)

 野手としては糸井の抜けたライトを守り、77試合で打率2割3分8厘、3本塁打、20打点。5番や6番を任されるなど才能の片鱗を見せつけた一方、投手で起用される日やその前日にはスタメンから外れ、チームは打順を固められなかった。

「ライトを固定できなかったので、結果的には大谷の影響があったと言えます。でも、もし“二刀流”がうまくいっていたら、周囲から何も言われなかったはず。初めての試みなので、何がいいのか、悪いのか、判断しづらいです」(吉井氏)

 大谷は秋季キャンプで、投手中心で練習を重ねた。来季、首脳陣がどうやって起用するかも、チームの巻き返しに影響してくるだろう。

 そしてもうひとつ、14年のカギになるのが若手打者の台頭だ。「僕がいた頃もそうでしたが、ファイターズは若い野手が育っていない状況が続いています」(吉井氏)。13年は41歳の稲葉篤紀が91試合で2割3厘、38歳の金子誠は32試合で2割と低調な成績に終わり、捕手の鶴岡慎也も今オフのFA移籍が有力だ。野手陣は明らかに、選手の入れ替えが必要な時期に来ている。

 新戦力の候補は、外野では高卒1年目の13年、2軍でリーグ8位の打率2割9分9厘、同2位の14本塁打を放った石川慎吾と、高卒3年目の谷口雄也。捕手では2軍の57試合で打率3割5分5厘を記録した近藤健介が期待される。内野では13年に実戦経験を積んだ西川、中島にレギュラー奪取が望まれるところだ。

 13年、最下位に転落する最大の原因となった先発陣だが、開幕までの調整さえうまくいけば、力のあるメンバーがそろっている。日本ハムが再び頂点を目指すために求められるのは、野手の新戦力出現だ。

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