首位から最下位へ。日本ハム転落の「真相」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 さらに、先発陣の悪影響が中継ぎエースに及んだと、吉井氏は指摘する。

「先発ローテーションのピッチャーがしっかりしていないと、ブルペンにすごく負担がかかります。結果的に増井浩俊は、ふたりの影響をモロに受けた形になりました。勝ちゲームにも、負けゲームにも、いつも登板していた。そうなると当然、調整が難しくなります」

 増井は12年、セットアッパーとしてリーグ最多の73試合に登板して5勝5敗、防御率2.76、リーグ新記録の50ホールドポイントで最優秀中継ぎに輝いたが、13年は66試合で4勝4敗、防御率3.71、32ホールドポイント。武田久が出遅れた開幕直後はクローザーとして起用され、武田久の復帰以降はビハインドの展開で投入されることもあった。9月頭までの防御率が4点台と思うような結果を残せなかったのは、起用法が一定しない影響があったのかもしれない。

 ちなみに、クローザーの武田久は47試合に登板して2勝2敗、31セーブ、防御率2.28。ランナーを出しながらも、要所を締めるピッチングを見せた。宮西尚生は57試合で防御率1.74、石井裕也は51試合で防御率2.74と、いずれも左の中継ぎとして仕事を果たしている。チーム総失点が12年の450点(リーグで2番目に少ない)から604点(リーグ最多)に膨れ上がったのは、先発陣の影響が大きいと言えそうだ。

 一方、野手陣に目を向けると、オリックスにトレードで移籍した糸井嘉男、FAでアメリカに新天地を求めた田中賢介の抜けた穴が開幕前から不安視されていた。

 打線で言えば、「飛ぶボール」の導入で球界全体的に点が入りやすくなり、新加入のアブレイユが本塁打王に輝くと、大引啓次もつなぎ役としてまずまずの働きを見せた。しかし、チーム総得点は12年のリーグ2位(510点)からリーグ5位(534点)へと順位を下げ、(※)他球団に比べて、いまいち「飛ぶボール」を生かしきれなかった。

※楽天      491点→628点(+137)
 西武      516点→570点(+54)
 ロッテ     499点→572点(+73)
 ソフトバンク 452点→660点(+208)
 オリックス  443点→513点(+70)
 日本ハム  510点→534点(+24)

 それに加え、痛かったのが守備力の低下だ。田中、糸井と名手が抜けたチームは、失策数が12年の72(リーグ最少)から88(リーグ最多)に増加。個人別ではサードの小谷野栄一がリーグ最多の19エラーを記録し、ショートの大引も同3番目の12失策を犯している。田中が長らく務めてきたセカンドでは西川遥輝、中島卓也を起用したが、それぞれ11、9のエラーと守備のミスが目についた。吉井氏は「ピッチャーからすれば、野手が守ってくれなければ成績を上げることはできません。守備に不安のあるバックで投げると、どうしてもピッチャーは慎重になります」と投手心理を話している。

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