坂本、阿部無安打でも勝利。巨人に強大な「伏兵力」あり

  • 中島大輔●構成 text by Nakajima Daisuke
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 また昨日は、先発のハウザー、2番手以降の中継ぎと、3戦目までに比べるとややレベル落ちたと言わざるを得なかった。その分、巨人打線の持ち味が出たといえます。3番の坂本勇人と4番の阿部慎之助が打っていれば、もっと楽なゲームでしたけど。ただ、ふたりにヒットが1本も出なくて勝てたことは大きいですよ。

 巨人が日本一になるには、坂本と阿部の復調が必要です。短期決戦はすぐ終わってしまいますが、ちょっとしたきっかけさえ掴めれば、調子を取り戻すことは十分可能です。1本のヒットや、いい当たりのアウトでも自分のスイングさえできれば、「これだ」という感覚をつかむことができる。いまはヒットが出ない焦りがあるでしょうね。

 主軸がそんな状態の中、決勝タイムリーを放った寺内崇幸、途中出場で3度出塁して3得点を記録した松本哲也がラッキーボーイ的な活躍をしました。松本は2つの四球を選びましたが、塁に出ると相手バッテリーは足を警戒しますので、それだけでも十分にダメージを与えることができる。そういう意味でも、昨日は素晴らしい活躍でした。

 スタメンではなかった松本がチームに勝利を手繰り寄せるほど、巨人の選手層は厚い。早い回で先発メンバーを代えても、交代した選手が起用に応えています。それぞれが、自分の役割をわかっているのが巨人の強み。どうしても、1試合ごとに体調や調子は変わります。だから日替わりヒーローの出てくるチームは強いんです。

 反対に楽天は、中継ぎ陣の弱さが出た試合でしたね。特に与えた四死球が12個。打たれたヒットは7本とそこまで多くなかった一方、無駄なフォアボールが失点に結びついてしまいました。

 先発のハウザーを3回で降ろしたのは、それまで四球を5個出していましたし、仕方がないことだと思います。ただ、4回表の攻撃で、無死一塁からハウザーを打席に立たせたので続投かと思いましたが、その裏の守りで交代させました。もし、あそこでハウザーに代打を送っていたら、その後の展開も変わっていたと思います。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る