過去10年、ドラフト1位指名選手のチーム貢献度 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva photo by Nikkan sports

 では、打撃部門ではどうだろう。ドラフト1位で野手を指名した人数はチームによってばらつきがあるので、活躍度を示す目安のひとつとして、ドラフト1位野手の通算安打数と本塁打数を、その人数で割ってみた。

巨人(野手4名)→420.8安打・42.5本塁打
阪神(野手5名)→293安打・22.8本塁打
広島(野手5名)→54.8安打・6本塁打
中日(野手7名)→98安打・9.3本塁打
DeNA(野手4名)→57.5安打・6.5本塁打
ヤクルト(野手4名)→304.5安打・11.8本塁打

 この表で目に止まったのは、巨人、阪神、ヤクルトの高い数値だ。この結果は、巨人には2006年の坂本勇人(953安打・99本塁打)と2009年の長野久義(627安打・69本塁打)、阪神には2003年の鳥谷敬(1439安打・112本塁打)、そしてヤクルトには2004年の田中浩康(920安打・26本塁打)と、長くレギュラーとして活躍している選手がいて、彼らが平均値を引き揚げているからだろう。逆にいうと、中日は過去10年で7人もの野手を獲得しているにもかかわらず、チームの主軸に成長したのは2005年の平田良介(302安打・40本塁打)ぐらいだ。また、並んで低い数値となった広島とDeNAのドラフト1位野手の活躍ぶりも、物足りなさは否めないだろう。

※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録 一方、パ・リーグのドラフト1位指名選手を見てみよう。6球団のリストを見て改めて気付くのは、楽天が過去9年(球界入りが2004年なため)、すべてドラフト1位で投手を獲得している点だ。その結果、2006年・田中将大(99勝35敗)の突出した成績に引っ張られている感はあるものの、楽天はドラフト1位で獲得した12名の投手で通算206勝190敗・勝率.520と、まずまずの成績を残している。

 また、他球団の投手成績を統計して分かったのは、パ・リーグの多くのチームがドラフト1位指名投手で勝率5割以上を記録している点だ。日本ハムの勝率.565(190勝146敗/1位指名投手8名)を筆頭に、西武の勝率.562(219勝171敗/10名)、オリックスの勝率.531(146勝129敗/9名)、ロッテの勝率.528(85勝76敗/.527)と、中日(勝率.626)と巨人(勝率.566)以外、勝率5割に届いていないセ・リーグと比べ、明確な差が表れていた。そんな中、パ・リーグで唯一、勝率5割を切っているのがソフトバンク(勝率.471)。2007年の岩嵜翔(12勝20敗)と大場翔太(15勝21敗)、そして2008年の巽真悟(0勝4敗)と、将来のエースと期待されたドラフト1位投手が軒並み伸び悩んでいることも、その要因と言えるだろう。

 対して、打撃成績を見てみると、ひとり抜きん出た結果を残しているのは日本ハム。2003年の糸井喜男(638安打・72本塁打)、2005年の陽岱鋼(ドラフト指名時は陽仲壽/568安打・35本塁打)、2007年の中田翔(439安打・79本塁打)と、いずれもリーグを代表する選手に成長した。また、二刀流で話題となったプロ1年目の大谷翔平(45安打・3本塁打)も、打者として大きな可能性を秘めている。日本ハムは投打において、ドラフト1位で成功していると言えるのではないだろうか。

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