2013.10.29

楽天ファン待望の一日「初めて日本シリーズがやって来た!」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 球団創設以来から楽天ファンの秋葉玲子さんは、朝9時に乗用車を仙台市内にある大崎八幡宮へと走らせていた。楽天の選手が日本一祈願に訪れるという情報をつかんだからだった。

「今年はずっと夢を見ているような気持ちです。この東北で、しかも私たちが日本シリーズを見ることができるんですから。台風も日本列島から逸(そ)れてくれた。夜中に震度4の地震が起きた時は『まさか』と思いましたけど、何事もなく無事におさまってくれた。あとは楽天の日本一だけです」

 大宮八幡宮では秋葉さんと、秋葉さんの妹、妹の娘さんの3人が選手の到着を待っていた。それぞれの首には日本シリーズ第1戦の入場券が入ったチケットホルダーがぶらさがっていた。

「最後の最後の一般発売の日に買えたんです。今まで”ゆず”のコンサートとか、”サッカーW杯”とか、大きなイベントは一度も電話がつながったことがなかったのに、今回初めてつながった。本当のファンにチケット(の神)が降りてくるんですね(笑)」(秋葉さん)

「会社を休んで、電話を掛けつづけてよかった」(妹の娘さん)

 秋葉さんたちは雨の中、1時間近く待つも、結局、選手たちは現れず。雨のため選手たちの祈願は中止となり、立花陽三球団社長だけが来ることになったのだという。

 過去、仙台には楽天以外のプロ野球チームがあった。1973年から5年間、本拠地を持たないロッテが宮城県営球場(現在のKスタ)を準フランチャイズとしていたのだ。そして1974年、ロッテは日本シリーズに進出。東北で初めて日本シリーズが行なわれるかと思われたが、宮城県営球場の収容人員が少ないため、日本シリーズでは後楽園球場を本拠地とするという通達がコミッショナーから出され、東北での日本シリーズは幻と消えた。