古田敦也の激走から20年。もっと三塁打が見たい!

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 実際、今シーズンの三塁打数を調べてみたところ、パ・リーグ138本、セ・リーグ98本の計246本。本塁打が1311本だったことを考えれば、三塁打がいかに少ないかがわかる。ただ、10年前(2003年)の三塁打数を見ると262本、さらにその10年前(1993年)は251本と、実は20年間でそれほど変わっていない。だが、福本氏は次のように指摘する。

「数字上は大きく変わっていませんが、実際は減っているのと同じなんですよ。昔に比べて球場は広くなっているんだから。本当はもっと三塁打が増えていないとおかしい。今の選手は三塁打の意識が薄い。外野を抜けても『二塁打でいいや』という走り方をしている。確かに、三塁まで走るのはしんどいけどね(笑)。二塁からワンヒットで還れると考えているんだろうけど、三塁にいた方が得点の確率は間違いなく高い。内野ゴロ、犠牲フライ、パスボール、ワイルドピッチ、エラーなど、たくさんの可能性がある。今の選手は、無理して三塁にいかなくてもいいと言われているのかな。僕らの現役時代は、『少しでも前の塁に』と教わったけどね」

 先のパ・リーグクライマックスシリーズでのロッテと西武のファーストステージの第3戦。ロッテは1点リードの8回一死一三塁から角中勝也が三塁打を放ち、ダメ押しとなる2点を入れて試合を決めた。今季、本塁打よりも三塁打が多い角中らしい一撃だった。

 福本氏は言う。

「野球はスピードがある方が面白いでしょ。何で高校野球が人気なのか。全力で走るし、攻守交代もスピードがあるからですよ。見ていて気持ちいいですよね。確かにホームランも魅力的だけど、スピード感のある野球を見たいと思っているファンも多いはず。そういった意味で、もっと三塁打を見たいですよね。ファンにスリルを味あわせてほしい」

 現在、巨人と楽天の日本シリーズが行なわれてる。果たして、20年前のような記憶に残るような三塁打は生まれるのか。スピードとスリルに満ちた三塁打を堪能したいものである。

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