日本一への不安要素。巨人は「Kスタ宮城」が苦手!? (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Nikkan sports

 今季、Kスタでの三塁打が17本だったのに対し、東京ドームでは8本。外野手の守備は当然だが、カットプレイなど内野手も神経を使わなければならない。そして高橋氏がもうひとつKスタの特徴に挙げたのが“人工芝”だ。

「Kスタの人工芝は、打球のリズムが他の球場と違います。ゴロの場合、他の球場はコン、コン、コンの3回で打球が飛んできますが、Kスタではそれが2回半ぐらいの感覚なんです。巨人の選手がそれを練習でどう見極めるのか。もうひとつ挙げたいのがマウンド。他球団の投手から『Kスタのマウンドは柔らかくて角度がない』という話をよく聞きます。投手からすれば対応が難しいマウンドだと思います」

 ちなみに、過去5年間の巨人のKスタでの通算成績は7勝3敗と、決して相性の悪い球場ではない。ただ、この成績はすべて交流戦でのものだが、試合が行なわれていたのは5~6月の野球をするには心地いい季節だった。しかし、日本シリーズが行なわれるのは10月末から11月にかけて。この時、巨人を襲うもうひとつの敵が“寒さ”だ。再び、高橋氏が語る

「この時期の東北は寒いですよ。巨人にとってはシリーズの開幕でいきなり寒いというのは嫌だと思いますよ。デーゲームならまだいいのですが、日本シリーズはナイターですからね。冷え込めば12度ぐらいまで気温は下がります。さらに、風が吹けば体感温度はもっと下がる。寒さ対策をしっかりしないとケガにもつながります。楽天の選手にとってはこの寒さは普通ですけどね」

 もちろん、風で厄介なのは寒さだけではない。風が強いことで有名だった千葉マリンスタジアムを本拠地としていた元ロッテの初芝清氏はこんなことを言っていた。

「風が吹いて難しいのは守備。僕も1球ごとにセンターにある旗を見ていました。屋外球場は風の影響をもろに受けますので、特に外野は高い守備力が求められます。一瞬の判断ミスが命取りになりますから。打つ方に関しても、逆風だとホームランは無理(笑)。屋外球場では一発で試合が決まるという展開は少ないと思います」

 日本シリーズ初進出の楽天が相手とはいえ、巨人が絶対有利とは言い切れない。果たして、この時期のKスタは巨人にとって味方となるのか、それとも……。2年連続日本一を目指す巨人にとって、Kスタでの戦いは大きなカギになりそうだ。

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