いざCS!楽天は短期決戦に強いのか、弱いのか? (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke 荒川祐史● photo by Arakawa Yuji

 打線に目を向けると、チーム打率は昨季の2割5分2厘(リーグ4位)から、今季2割6分7厘(同2位)へと上昇。また、四球数が昨季の346(同5位)から487(同2位)に増えるなど、つながりと破壊力、粘りを増した印象だ。中でも存在感が際立つのは、4番としてリーグ5位の26本塁打・同3位の94打点を記録したジョーンズと、5番で同2位タイの28本塁打・同4位の93打点をマークしたマギーだろう。中軸に元メジャーリーガーコンビが座ったことで、チーム内に「チャンスでふたりに回そう」という得点パターンが構築された。

 このように打線に核ができたことで、対戦相手にとっては警戒ポイントが増している。パ・リーグで今季、楽天に唯一勝ち越している西武の正捕手・炭谷銀仁朗は、「ふたりの外国人の前にランナーを置かないことが重要。その前の左打者3人を抑えなければ」と、1番から並ぶ岡島豪郎(79試合で打率3割2分3厘)、藤田一也(打率2割7分4厘・48打点)、銀次(リーグ4位の打率3割1分7厘)をマークしていた。

 一方、山村氏は両外国人の後ろを打つ6、7番がカギを握ると見ている。

「CSや日本シリーズでは外国人がマークされるから、その後に控える左打ちの枡田慎太郎と、スイッチヒッターの松井稼頭央がキーマンです。今季の枡田は低めのボールをしっかり拾えていて、打率は2割7分2厘・8本塁打・47打点を記録しました。レフト方向に大きい当たりを打てるし、昨年より1段階レベルアップした印象ですね」

 田尾、山村両氏の分析を総合すると、初優勝から日本一へのハッピーエンドを描くには、投打ともにレギュラーシーズン同様の戦いをできるかが重要になる。逆に考えると、最も恐れるのはシナリオの序章崩壊――絶対エース・田中将大の登板する初戦で敗れることだ。

 レギュラーシーズンを無傷で終えた右腕に、つけ入られるスキはあるのだろうか。投手目線の山村氏によれば、数少ない試合序盤に危ない場面があるという。

「今季の田中は、立ち上がりにもたつくことがありました。ブルペンとマウンドでは景色が変わり、バッターが立つことでピッチャーは力が入るものです。バッターに向かっていく気持ちが出ることで、ボールがストライクゾーンから外れたり、高めに浮いたりします。だからピッチャーはブルペンで調子を確かめつつ、マウンドでバッターと対戦しながら感覚をつかんでいくんです。そういった感覚を1イニング目でつかめれば、2イニング目以降はサーっと流れていきます。よって対戦相手が田中に勝とうと思うのなら、唯一のチャンスは立ち上がり。あとは見当たらないですね」

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