投打の役者揃う。強い西武がポストシーズンの大本命!? (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

 思うように快打を連発できる状態ではないものの、中村には一撃必殺の武器がある。「意外性のあるバッティングをしたい」と割り切り、「ここぞ」という打席ではホームラン狙いに徹した。そんな思惑が再び当たったのは、10月5日の楽天戦だった。1対1で迎えた9回表、先頭打者として打席に入ると左中間スタンドに決勝ホームランを放ち、チームのCS進出を確定させた。

「中村が打つとチームが盛り上がるから、アイツはそういうバッティングをしています。あとは僕が盛り上げられれば、西武らしい野球をできる」

 そう話すのは、「2番・セカンド」として攻守にリーダーぶりを発揮している片岡治大(かたおか・やすゆき)だ。左ヒザ裏痛で6月中旬から戦線離脱していたが、9月15日に一軍合流を果たした。復帰から2試合はヒットが出なかったものの、以降は14試合連続安打の活躍を見せ、打率も2割6分7厘から2割9分まで上昇させた(10月8日現在)。

 何より光るのが、抜群の勝負強さだ。9月25日の楽天戦では2対2で迎えた9回裏、二死二塁で打席へ。一塁が空いている状況で、相手投手は右の加藤大輔。初球の変化球が外角にボールとなり、片岡は「勝負してくる」と集中力を高めた。2ボール1ストライクから加藤の投じたフォークが真ん中に甘く入ると、レフトスタンドへのサヨナラホームランで試合を決める。渡辺監督は「勝負強いよね。片岡治大が戻ってきた」と殊勲者を称えた。

 中村と片岡の復帰は打線の破壊力をアップさせたばかりでなく、相乗効果も生み出している。

 開幕から中島裕之(アスレチックス)の抜けた3番を任されてきた栗山巧は、今季ここまで打率2割7分7厘と思うような成績を残せず、9月18日の日本ハム戦から31打席連続無安打と不振に陥っていた。しかし、10月2日のソフトバンク戦では同点の8回裏、ライトスタンドに決勝本塁打を放つ。中村と同級生、片岡の1学年下の30歳は、試合後、安堵の表情でこう話した。

「みんなが頑張ってくれていますからね。片岡さん、おかわり(中村)が帰ってきて、助かっています。気持ち的にもふたりに助けられている。早くチームに貢献できる1本を打ちたかった。値打ちのある1本です。中島さんが抜けて、3人で頑張ってきたメンバー。何より心強い」

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