原監督の1年。巨人独走を実現した「3つの采配」 (4ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Masuda Yuichi

 翌日、6月26日の広島戦もチームのピンチを積極的な采配で救った。

 先発予定だった内海が、前日に右足首を痛め登板回避。エースの緊急時に原監督は、中継ぎで起用していた笠原将生を先発させた。そして、無失点のまま3回2死二塁のピンチを背負うと、早々に2番手の青木高広にスイッチ。先発投手をわずか打者9人、34球で降板させるも、結局、普段は中継ぎ、抑えを務める投手陣6人を効果的につぎ込んで、広島打線をわずか3安打に抑える完封継投を披露。両リーグ一番乗りの40勝目を手にした。

 長嶋茂雄終身名誉監督が監督時代に「準備して、決断して、勝負するのが大事」と口にした言葉が、心に残っているという原監督。「守りでも“攻めるぞ”という姿勢が大切。継投で後手を踏んではダメ。後手、後手に回って投手交代するのは愚策」が信念。「正直なところ、まさに思い描いた継投ができたなと思いますね」と、エースが戦列を離れたピンチを救う采配には自ら合格点を与えた。

 チームが停滞し、選手が困っているときに次々と繰り出す絶妙な原采配。シーズンを振り返ってみれば、そんな原監督の思い切った“決断”があったからこそ、誤算のあったチームでも独走させることができた。そう言っても、大げさではないだろう。

「巨人が1番。個人は2番」

 原監督はチームに必要な選手の気構えを、そう求めている。チームのために自己犠牲ができる選手。そんなナインを束ねて、いよいよ日本一連覇を目指す。

 クライマックスシリーズ、日本シリーズと続く短期決戦では、ペナントレース以上にベンチワークで流れが大きく変わる。キャンプイン前日に誓った日本一連覇へ、原監督が振るうタクトに注目したい。

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