バレンティン、ラミレス、ペタジーニ...。なぜヤクルトの外国人は活躍するのか? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 この数字を見れば一目瞭然。いかにヤクルトの外国人が活躍しているのかがよくわかる。特に目を引くのが本塁打と打点だ。加えて打数も調べたところ、こちらも断トツでヤクルトが多い。打数が多いということは、つまりレギュラーとして試合に出ている証拠でもある。

 ちなみに、2008年に巨人のラミレスがMVPと打点王を獲得した時、最多勝投手はというと......こちらも元ヤクルトのグライシンガー。このようにヤクルトで育って、他のチームに移籍するというのをこれまで何度も見てきた。

 それにしても、すごい確率で当たりを連れてくるものだ。この理由について、まず考えられるのがスカウトの確かな眼力だ。ただヤクルトの場合、ハウエルやペタジーニ、ラミレスを連れてきた中島国章氏は2005年に退団している。いっぽう、この中島氏が現在、スカウトを務めている巨人に、すごい外国人が来たかといえばそうではない。これは、中島氏の問題というより、巨人自体の問題なのかもしれない。

 一体、ヤクルトにどんな秘密があるのか。

「もちろん、いい選手をスカウトしてくるというのもあるけど、ヤクルトは外国人選手に対して親身になって接する伝統がある。外国人選手は働いて当たり前という感覚のチームもあるかもしれないけど、ヤクルトはしっかりケアをしている」

 神宮球場の室内練習場で伊勢孝夫ヒッティングコーディネーターはそう語った。伊勢コーチはヤクルトをはじめ、広島、近鉄、巨人などでコーチ経験がある根っからの野球人だ。

「大切なことは、アドバイスをするというよりも一緒に汗を流すことじゃないかな。生活も文化も違う国から日本にやって来て、唯一の共通点は野球だけなんだから。バレンティンは一昨年、オレに逆らってきたりしたけど、ちゃんと話し合えば誤解はすぐに解ける。彼はああ見えて、考え方がシャープ。プライドが高く、練習嫌いというのは日本で成功しないんだけど、彼は練習もよくするし、その上、パワーがあった」

 そして伊勢コーチは、意外なことを口にした。

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