将来の日本球界を背負う器。解説者7人の「西武・浅村栄斗」論 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Nikkan sports

◎金村義明氏(元近鉄、西武など)

「一番成長したと思うのは、右方向に大きい打球が打てるようになったこと。本人も『右に打てないと、打率を残せない』と感じたんでしょうね。練習のときからずっと右方向に打つ練習をしているし、すごく意識して取り組んでいると思います。去年までは引っ張り専門みたいなところがあったけど、広角に打てるようになって、打率を残せるようになりました。中村(剛也)不在の中、本当に4番としてよくやっていると思いますよ。これまでは天性の素質で野球をやっているのかなと思っていたけど、今年はしっかり配球を読んで対応している。あんなに頭のいい選手とは思いませんでした。打率も残せて、一発もあって、勝負強い。理想の4番やと思いますね。12球団で最も若い4番打者ですが、バレンティン(ヤクルト)に匹敵するくらい貢献しているんじゃないかな。来年、中村が復帰すると打順が変わるかもしれませんが、中村と4番を争えるだけのポテンシャルは十分にあります。今季途中から4番になっても思い切りの良さは変わっていないし、まだまだ伸びる。現段階で注文をつけることは何もないですね」

◎青島健太氏(元ヤクルト)

「現在のプロ野球で、見ていて最も楽しく、スカッとさせてくれる選手ですね。浅村の最大の幸運は、ライオンズに入団したこと。おかわり君(中村剛也)も中島(裕之)もいましたし、2年目から渡辺(久信)監督が積極的に起用してくれました。タイプ的には、おかわり君と中島のいいところを取り入れた感じ。今季の浅村は24本塁打を放っていますが、中島みたいなスプレーヒッタータイプで右にも左にも長打を打てます。ミスター二塁打という選手ですね。それがよくわかるのは、稲葉(篤紀)と同じバットを使っていること。稲葉もコースに逆らわずに打ち返すタイプですが、同じフィーリングを持っているのでしょうね。そうした浅村の特徴を作っている背景には、小学生の頃にソフトボールをやっていたことが関係していると思います。ご存知のようにソフトボールは球が大きく、野球より近い距離のマウンドから速いボールがやって来るから、最短距離のスイングで捕まえないと、ボールが飛びません。プロ野球でも重いボールやソフトでティーバッティングをして、手首の返しやインパクトを強くする練習があります。浅村のボールを捕まえる力は、小学校でソフトをやっていたことが大きかったと僕は睨んでいます」

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