将来の日本球界を背負う器。解説者7人の「西武・浅村栄斗」論 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Nikkan sports

◎伊原春樹氏(元西武監督)

「浅村の野球スタイルを見ていると、走攻守ともに攻撃的。それがすごくいい結果につながっています。打席でも『打つしかない』と、強い気持ちが表れています。そしてフルスイングできるのは、天性の才能と言えます。去年は何でもかんでもフルスイングして、ボール球にも手を出していました。だから打率も低かった。それでも渡辺(久信)監督が使い続けて、何打席も立った経験が今年になって生きていると思いますね。本人は口では『4番目の打者』と言っていますが、内心では相当のものがあるはずですよ。シーズン始めは4番の外国人が打てなくて、それから浅村が任されて、ずっと4番をキープしている。中村(剛也)が復帰したら違うところを打つでしょうが、浅村は4番の経験があるからどの打順でもこなせると思います。でも、中村が戻ってきた後も4番を打ったら、"4番の膿(うみ)"が出るかもしれない。『中村さんがいるのに自分が4番』とプレッシャーを感じて、崩れる可能性は否定できません。守備に関してですが、今年はショートとして期待されましたが、送球面に難がありました。でも、やれる可能性はあると思います。セカンドでも器用にやっているじゃないですか。中村が戻ってきたら、バッティングの強力なセカンドとしてプレイしてほしい。22歳と若いので、どんどんチームを引っ張ってほしいですね。普段はもの静かですが、しっかりしていますよ。グラウンドでは中島(裕之)と同じで、体全体で表現できる選手。素直に、謙虚に、今まで通りやってほしいですね」

 続いて、元打者の評論家3氏が解説する。

◎仁志敏久氏(元巨人など、現FOX SPORTS解説者)

「浅村の良さは思い切って打ちにいくこと。初球から振っていくスタイルですが、やみくもに振っているわけではありません。タイミングとスイングを大事にしているから、初球から振れるわけです。ただ今シーズンは、思い切りいくところと、要所で見極めて打ちにいくスタイルを使い分けられていることが、ミート率の良さにつながっています。逆方向ばかり狙っていると、バッティングが小さくなってしまいますので、時には大きいのを狙って、思い切り振ることが大事。その辺をうまく使い分けているから、浅村にとって意味のある結果につながっているのでしょう。4番を打っているのはケガ人や選手層といったチーム事情もありますが、浅村が4番を任される前から、僕は4番で起用すればいいという話をテレビの解説でもしていました。浅村以上の選手は、なかなかいないですよ。実際に4番で結果が出ているし、今後も中軸を担ってほしいと思います」

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