楽天5連敗も、ファンが監督より落ち着いている理由とは? (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

「あー、初球から簡単に打ってしまって! この負の展開。弱い時の楽天だよね」

 秋葉さんのボヤキとともに試合は見せ場なく進み、球場のスクリーンから届いたのはロッテ敗色濃厚の途中経過。しかし、特に球場が盛り上がるわけでもなし。

―― よかったじゃないですか、ロッテ負けていますよ。

「そういう問題じゃない。今日負けたら明日の則本(昂大)にプレッシャーかかるし、ロッテ戦に投げるマー君もすごいプレッシャーじゃん」

 試合は劣勢のまま終盤を迎えた。中継ぎの片山博視が二死を取ったあとに4連打を浴び、決定的ともいえる2点を奪われた。楽天は9回裏に追い上げを見せるも3-5で敗戦。不思議だったのは、負けがほぼ決まっても球場をあとにするファンがほとんどいなかったこと。かといって「あきらめるな!」と一丸となって応援している感じでもない。

「チームの歴史が浅く、この一球で、この一敗でシーズンがダメになったとか、そういう経験がないんです。だから、4連敗をしてもどこかのんびりしてるんでしょうね」(秋葉さん)
 
 試合後、球場をあとにするファンの人たちを眺めながら、ふと、前出の横山万葉ちゃんの言葉を思い出した。

「応援も楽しいし、野球を見るのも楽しい。優勝したらどんな気持ちになるのかな」

 この素直な言葉が、今の楽天ファンの気持ちを象徴しているのだと、つくづく思った。はたして夢は叶うのか――ファンの期待は日に日に高まりつつ、今夜からロッテとの大事な3連戦が始まる。

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