楽天5連敗も、ファンが監督より落ち着いている理由とは? (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

 試合開始前の球場に入っても、のんびりとした時間が流れていた。レフト外野席で練習を眺めていたのは、中山さん(23)と吉田さん(23)だった。中山さんは東京から、吉田さんは山形から、「楽天のために休暇をとって来ました」というから熱狂的なファンだ。

「今は友だちの反応が楽しいですね。『楽天が1位なのかよ』とか、『いつ失速すんだよ』ってよく突っ込まれます」(中山さん)

―― ここへきてチームの調子が落ちていますね。

「交流戦でも、優勝を目前にして広島に連敗して、2位が決定したあとの阪神に連勝したり……。こういうところが優勝経験のなさなんですかね」(吉田さん)

―― 今後はどんな展開を希望しますか?

「ゲーム差が詰まっている方が試合は面白いですよね。いったん2位に落ちてもいいかもしれない。緊張感があるじゃないですか。残り何試合で逆転とか劇的ですよね。うーん、でも普通なら独走の方が気は楽ですよね(笑)」(中山さん)

 楽天はこの夜も、緩慢な守備に淡白な打撃。先発の美馬学は2回に3失点。「美馬が7回まで投げれば勝てる」と語っていた坂本さん(前出)を失望させ、3回には打球が直撃して降板した。

 でも、私が座る席の周りからは「ホーム球団がなんでいつも裏の攻撃なのか。それはサヨナラができるから」「へー」とか、「交流戦っていうのはセ・リーグと試合をするんだよ」「そうなんだぁ」など、首位を走るチームとは思えないほど、平和な空気が流れていた。

「東北の人はやさいしいんですよ。球場でヤジ飛ばすのも私くらいですから(笑)」

 前出の秋葉さんが説明をしてくれた。

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