喜び、不安、戸惑い......ベイスターズファンの熱く長い夏 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Nikkan sports

 福住悠太さん(27)は昨年まではフリーの野球ファンとして東京ドームや神宮球場で試合観戦。今年、知人のすすめでベイスターズの応援をはじめたという。

―― ずいぶんと罪作りな友達ですね。負け続けるチームのどこに魅力が?

「チームカラーが気にいったんです。ファンも選手も1勝を大切にしているようにみえる。巨人じゃ味わえない感覚ですよ。残念なのは球場にきた5試合すべて負けていることですね(笑)。今日はなんとか勝ってほしいですね」

 上坂雄樹さん(42)は「夏場に最下位じゃないことが嬉しい」と言った。

「CSなんて口にするのもおこがましかったけど、今はCSのことばかり考えていますよ。チケット窓口をのぞくと、CSの発券システムがちゃんと構築されているとか。正直なところ、他チーム次第のところもあるし、悲観的ですけどね(笑)。ハマスタで勝てないですし。圧倒的に負け越していますから(17勝30敗)。広島や中日がコケてくれないと......。満員のハマスタで応援されることに慣れてないんですかね。プレッシャーで力が出せないんじゃないかな(笑)。CSに進出したら甲子園でも東京ドームでも行きますよ。それで負けても、『そうだよなぁ』って納得できます。現実的にベイスターズが巨人に勝てると思いますか?」

 息子の雄大君(小6)はベイスターズの弱いところだけを見て育ってきた。

「ベイスターズは試合がはっきりしているから楽しいよ。叩き潰すか叩き潰されるかなんだ。途中で帰りたくなる試合も多いけど」

 お父さんが雄大君に話しかける。

「チームの得点は巨人より上だもんな。失点はリーグワーストだけど。ベイスターズにはインパクトの残る試合が多いよな。東京ドームで長野(久義)に食らったサヨナラ本塁打。あの日からドームには行ってないもんな。神宮で8点リードを大逆転されたこともあったよな。ベイスターズは、だからこそ勝った時の喜びが大きいんだよな」

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