投手の「球数制限」「イニング制限」は本当に必要なのか?

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 現役時代の私も、「疲れています」とは絶対に言いませんでした。思い出すのが近鉄時代、調子が上がらず、結果が出ない時期がありました。その時、仰木彬監督が「疲れたか」と聞いてきてくれたことがありました。原因はそこにあると気付いてくれていたんです。だからといって、休ませてはくれなかったですけど(笑)……それでも上の人が気遣ってくれたことに救われました。

 日本ハムの投手コーチを5年間務めさせていただいて思ったことですが、いくら試合で球数やイニング数を決めても、結局、練習でたくさん投げてしまうと意味がありません。コーチは練習から投げ過ぎていないかを見ていかなくてはいけません。特に日本人は真面目ですから、調子が良くない時ほど練習しすぎる傾向があります。状態が悪い時に投げ込んでも、絶対に良くはなりません。そこはしっかりとコーチがストップをかけてあげないといけません。

 リリーフ陣に関しても、いかに少ない球数で準備できるかを考えなくてはいけません。そのためには、メジャーのようにどのイニングで投げるのかを、あらかじめ決めておくべきだと思っています。投げる順番が決まっているだけでも、選手にかかる負担は全然違います。それにブルペンで肩を作る時も、訓練すれば10球程度で肩ができるようになります。試合以外の部分で球数を減らすことはいくらでも可能です。

 とにかく試合だけで投げ過ぎかどうかを判断してはいけません。練習も含め、1年間トータルでどれだけ投げたのかを、首脳陣は把握しておかなければなりません。少しでも状態が悪ければ使わない。そうした判断も重要になってきます。目の前の1勝も大事ですが、長い目で見て戦うことが、最終的にチームのためになると思うんです。あくまでもプレイするのは選手です。何度も言いますが、気持ちよくマウンドに上げてあげるのが首脳陣の仕事。そこは絶対に忘れてはいけません。

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