進化する4番、中田翔に三冠王の可能性あり (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

その中田に転機が訪れたのが、今年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だった。中田とともに日本代表メンバーとして戦ったチームメイトの稲葉篤紀は言う。

「代表に選ばれる選手は、みんな気持ちの切り替えがうまい。今、自分は何をすべきか、何を求められているのかをわかっている。そういう部分を勉強できたことが、(中田)翔にとって一番大きかったと思う」

 渡辺コーチもWBCから戻ってきた中田のバッティングを見て、驚きと同時に「劇的に変わるかも」という予感めいたものを感じたという。

「ボールをしっかり見極めるようになった。自分の得意とするボールに対しては、これまで通り積極的に打ちにいくんだけど、苦手なボールが来た時やタイミングを外された時は、打ちにいかず我慢できるようになった。それを見た時に、打率は上がっていくだろうと思った」

 開幕当初こそなかなか当たりの出なかった中田だったが、4月後半から調子を上げると、打率は急上昇し、一時期3割4分台に到達した。確実性が増す一方で、長打力、勝負強さにもさらに磨きがかかっていった。5月3日の楽天戦(Kスタ宮城)では、3本塁打を含む5打数4安打。5月17日のDeNA戦でも2本の本塁打を含む4打数4安打と大爆発。

 7月24日現在の中田の成績は、打率3割7厘(リーグ7位)、24本塁打(リーグ1位)、59打点(リーグ2位)。そうなると期待したいのが三冠王だ。評論家の金村義明氏はこう語る。

「首位打者はソフトバンクの長谷川(勇也)や内川(聖一)がいるので厳しいかもしれませんが、本塁打と打点の二冠王は可能性十分だと思います。ただ、将来的な話ならば三冠王も夢ではない。そのためには、今年何としても打率3割をマークしたいところ。自信もつくし、もうワンランク上のバッターになるような気がします」

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