セ・リーグ後半戦展望。「それでも3位はヤクルト」の根拠 (2ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Nikkan sports

 こうした日程的な理由もあって、ペナントレース終了時の3位予想を中日ではなく、ヤクルトを推す声が増えている。野球解説者の山村宏樹氏はきっぱりと言う。

「経験力で豊富な中日とヤクルトの争いになると思う。でも、最終的にはヤクルトが3位でしょう」

 その理由として山村氏は攻撃力の差を挙げる。中日がチーム打率2割4分5厘、総得点306点。ヤクルトが2割4分4厘、総得点309点と、データ上はほぼ互角の数字を残すが、「ヤクルトにはバレンティンというホームランを打てる打者がいるのが大きい。中日には昨年までブランコがいたけど、今年はホームランを期待できるバッターが少ない。8月以降は投手がへばってくるので、打線の強いチームが有利になる。キーマンは畠山和洋。あの思い切りのいいバッティングを取り戻せば、より強力な打線になるはずです」と見ている。

 OBでもある吉井理人氏も、ヤクルトを3位に推すひとりだ。

「ヤクルトには期待していますけど、ちょっとケガ人が多すぎるかな。ただ、小川監督は下手に動いて失敗するようなことはない。勝負勘が素晴らしい」

 前半戦のヤクルトは、開幕直後にエースの館山昌平が故障で今季絶望になると、守護神バーネットや中継ぎの日高亮、平井諒など堰(せき)を切ったようにケガ人が相次いだ。さらに苦しい台所事情の投手陣を援護すべき打線も、打撃不振だった畠山、田中浩康のところで寸断され、バレンティン頼みの攻撃になっていた。

 こうした苦しい状況下でも小川監督の采配にブレはなかった。目の前にある試合での勝利を最大限に目指しながらも、ペナントレース終盤の勝負どころに視線は向けられていた。

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