西武・菊池雄星はこうして「覚醒」した (3ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

 さらに、指揮官である渡辺久信監督は修正能力を挙げた。

「今年の雄星は、調子の悪い中でもゲームを作っていく技術がある。メンタルもそうだけど、すごく成長している。ピッチャーは調子の良くない時にどれだけ勝てるかが大事。勝負できる球種が増えたことも大きいと思う」

 今シーズンは、スライダーやカーブに加えて要所で投げるチェンジアップも菊池の大きな武器となっている。

 覚醒した左腕――。

 ただ、ここまでの結果も菊池が持つ能力からすれば、何ら不思議なことではない。09年のドラフト時に「20年にひとりの逸材」と言われた左腕は、今やっとその素顔を見せ始めただけなのだ。

 走者を背負っても動じない。逆にそこから、もうひとつギアを入れ直して後続を打ち取るメンタルの強さと、投球術がある。マウンドに立つその姿には今、自信というオーラに包まれた余裕すら感じる。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る