交流戦総括。もうセ・リーグはパ・リーグに追いつけないのか? (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 実際、今年の交流戦で上位6球団をパ・リーグが占めた時(6月1日)、それほど大きな話題にはならなかった。2010年にも同じ現象があったので、すでに“慣れっこ”になってしまったのかもしれないが、もうそうだとするなら、そのこと自体が衝撃である。「6強6弱」というのは明らかに異常事態なのだから。

 さらに言えば、今年は、交流戦の最中でありながら巨人と阪神のセ・リーグ首位争いばかりを取り上げる報道が目立ったことにも違和感を覚えた。交流戦という枠の中では、上位に顔を見せないセ・リーグの人気入団を無理やり取り上げているようで寂しさすら感じた。最終的に巨人は3位に入り、阪神も1つの貯金を作ったが、セ・リーグの首位攻防戦の上で交流戦の優勝争いが行なわれている事実から、あえて目をそらしているように感じた。

 もう、セ・リーグはパ・リーグに勝てないことを誰もが容認してしまったのだろうか。中日の高木守道監督は「パ・リーグは強い! いろんな野球ができる。それに比べてうちはいろんなことが不足している」と言い、横浜DeNAの中畑清監督も「投打に圧倒された。今の実力を認めるしかない」と完敗を認めた。また、ヤクルトの相川亮二は「投手はピンポイントで投げないと厳しい。少しでも甘くなると全部やられてしまう。もう少しいい勝負ができると思ったけど……」と語るなど、現場で戦う選手や監督たちも脱帽するしかないといった様子だ。

 せめて「来年こそは……」という思いがあるならいいが、いまセ・リーグは交流戦の試合数を24から18に減らしたいと主張しているのだと聞く。議題に上げるのは自由だが、そこからはセ・パの優劣を逆転してやる、という強い気概は見受けられない。今のセ・リーグが本当に議論すべきことは、交流戦の試合数ではなく、いかにしてパ・リーグをやっつけるかということではないだろうか。これはチームレベルの話でなく、リーグ全体の問題として受け止めていくべき問題である。セとパが切磋琢磨することこそが、球界の発展につながる。来年で10年目を迎える交流戦。セ・リーグに与えられた課題は重い。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る