「怒らせると怖いヤツ」。
ロッテ・唐川侑己の殺気に満ちたピッチング

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 ふたりはこれ以上ないほどの全力投球を繰り返し、試合は延長引き分けに終わった。菅野がストレートとタテのスライダーで17三振を奪えば、唐川は緩急を駆使した投球術で内野ゴロの山を築いた。

 そして今、あのひょろりとした細さはどこへいったのか。大きな背中のユニフォーム姿は、キャンプのブルペンでもひと際大きな存在感を示していた。若手投手は、唐川がブルペンにやって来ると、早々にピッチングを終えて、入れ替わるように去っていった。

 成田高のブルペンで細い体をしならせながら懸命に投げていた彼と、今、その半分ぐらいの力で同じボールを投げている「ロッテの唐川」が重ならない。

 何度もケガに泣かされながらも、カムバックしてきた唐川。「負の現象」もその本質を見つめて、自らを立て直す賢さだって、彼の身上だ。

 怒らせると怖いヤツ――そんな「プロっぽさ」と「殺気」を持った唐川のピッチングを堪能したい。

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