交流戦前半総括。再び「実力のパ」の時代に突入か!? (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

 一方のセ・リーグは絶対的エースと呼ばれる投手が少なく、あえて挙げるとすれば広島の前田健太ぐらい。その前田も、当時は日本代表に名を連ねるような投手ではなかった。とにかく投手力において、パ・リーグがセ・リーグを圧倒していたのは間違いない。

 しかし、今はどうか? ダルビッシュ、岩隈、和田がメジャーに挑戦し、杉内、ホールトンが巨人に移籍。エース級の投手がごっそり抜け、戦力ダウンは明白だ。今春のWBC日本代表の顔ぶれを見ても、前田をはじめ、内海哲也(巨人)、能見篤史(阪神)といったセ・リーグ投手の活躍が目立った。そう考えると、セ・パにおいてかつてのような「差」はなくなったのか。野球評論家の与田剛氏が解説する。

「たしかに数年前はパ・リーグの投手陣が圧倒している印象が強かった。その後、何人かはメジャーに移籍し、杉内やホールトンがセ・リーグに来たわけですから、当然、力は拮抗していると思います。それが昨年の巨人の優勝であり、パ・リーグ67勝、セ・リーグ66勝といった僅差の結果につながったのだと思います。それにセ・リーグは、菅野智之(巨人)や小川泰弘(ヤクルト)、藤浪晋太郎(阪神)といった若い投手も出てきた。現時点でパ・リーグに負けないだけの投手力はあると思います」

 同じく評論家の金村義明氏も、今年の交流戦について次のように語る。

「今はパ・リーグが大きくリードしていますが、まだ半分が終わっただけで、これからの戦いによって逆転する可能性も十分ある。数年前なら間違いなくパ・リーグの圧勝と言えたけど、今回の交流戦を見ていて、そこまでセ・リーグと差があるとは思えません。パ・リーグの先発陣を見ても、昔のようなすごさを感じることはない。セ・リーグが苦戦している理由は、抑えを含めたリリーフ陣が手薄なこと。それに比べてパ・リーグは勝つ形を確立している。その差が、今の成績につながっているんだと思います」

 かつてのようにセ・リーグを圧倒するほどの力はないというのが専門家の見方だ。それでも結果として、パ・リーグが大きく勝ち越している。これについて評論家の吉井理人氏が挙げたのが「守備力の差」だ。

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