日本ハム・大谷翔平、プロ初登板までの111日 (3ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Nikkan sports

 成績を見る限り、3試合すべてに失点しており、確かな結果を残したとは言えない。特に16日の西武戦は2本の場外弾を許し、セットポジションでの体の開きや、要所での制球力不足という現時点での技術的な不安要素も顔をのぞかせた。それでも、以前から一軍で投げるための基準として考えていた、試合での「100球」という球数をクリアしたことで、指揮官は決断した。試合後、栗山監督は大谷の一軍登板を明言したのだ。

「課題は上(一軍)にあると感じた」

 一軍の舞台でしか味わえない感覚がある。一流を育てるために、その舞台を用意してあげることが自らの「使命」とも語る栗山監督は、一軍の舞台で繰り広げられる真剣勝負にこそ大谷の能力を高めるものがあると考えているのだ。

 キャンプからプロ初登板までに費やした111日――そして5月23日、札幌ドームでついに大谷翔平が一軍のマウンドに立つ。この試合が、投手としてひとつの試金石になることは間違いない。ただ、そのすべてが大谷の価値や力量を測る基準になるものではない。

「投手・大谷」の本格始動。それは二刀流へ向けた新たなステージの始まりに過ぎない。

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