11年連続Aクラスの中日はなぜ勝てなくなってしまったのか?

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 一方、金村氏は去年、投手陣の重石になっていた権藤博投手コーチの不在の影響を心配する。

「権藤さんは時に高木監督と対立しながらも、投手陣を上手に守り育てていた。その中から山内や田島も出てきた。ところが今年は権藤さんが不在ということもあって、先発要員のはずの中田がリリーフに回ったり、結果が出ないリリーフをすぐに降格させたりといった起用が目立つ。役割がはっきりしないので、選手のほうにも戸惑うことが多いのではないか」

 苦しいときはいろいろな問題が表に出やすい。先日はWBCのヒーローになったベテランの井端弘和と高木監督がカットプレイを巡り、激しく言葉を交わす場面がカメラに捕らえられて話題になった。

「どんな会話だったかはわからないが、首脳陣、選手の双方にかなりフラストレーションが溜まっているのは確か。高木監督は70代で、コーチはほとんどが40代。これだけ歳が離れていて間に立つ人がいないと、ジェネレーションギャップも生じるでしょう」(金村氏)

 では、浮上するための条件は何か。交流戦開幕の日本ハム戦は連勝と好スタートを切った。このあたりにきっかけは潜んでいないか。牛島氏はリリーフの再構築を図るべきだと指摘する。

「交流戦は2連戦が基本で休みが多くなるので、先発をある程度引っ張ることもできる。その間にリリーフ陣を整備することが大事でしょう。故障者の回復が期待されますが、同時に、先発にもこれまで6回だったところを7回までがんばってもらうとかしてリリーフへの負担を減らし、その間に陣容を整えたい。リードしたら必ず3人の継投というのは失敗の可能性もあるし、負担も大きいんです」

 金村氏が期待するのは若い力だ。

「中日はベテランの上にさらに山本昌や山崎武司のような大ベテランがいる。彼らがいるから井端、荒木雅博などのベテランも手が抜けず、もっと若い選手も緊張感を持ってやっていた。よい循環があった。でも、これからはベテラン、大ベテランにばかりは期待できない。高橋周平のような若い選手を使い、起爆剤にしたいところです」

 その期待の高橋も今年はここまで7試合の出場に。若い力の台頭もなかなか容易ではなさそうだ。

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