今季初の最下位も、横浜DeNAの未来は明るい (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 現在、横浜の1、2番はキャプテンの石川雄洋と、昨シーズン途中に楽天から移籍してきた内村賢介が務めている。ともに打率は2割6分台ながら、出塁率は3割4分以上をマーク。高木豊チーフコーチはふたりの存在を次のように語る。

「非常にバランスのいい1、2番です。どちらかが調子が悪くても、もうひとりがしっかりカバーできる。おそらくブランコの存在があるから、彼らも塁に出ようという意識が高まっている。相乗効果になっていると思いますね」

 石川自身も今季の戦いについて、次のように話す。

「ブランコが4番に座ることで、得点力は確実に上がりました。僕らの役割は、とにかく塁に出てブランコに回すこと。そういった意味で戦いは明確になったと思います。何をすべきか迷いがないので非常にやりやすい」

 ここまで石川が16得点、内村が14得点。これはブランコの21得点に次ぐ成績で、彼らがどれだけ出塁し、チームに貢献しているかがわかる。また、2番の内村は足でも相手をかき回し、リーグ2位の8盗塁を記録している。

「内村が塁に出ると、相手バッテリーは盗塁を警戒してストレート系中心の配球になり、その結果、クリーンアップは狙い球が絞りやすくなる。内村はスイッチヒッターで投手の左右に関係なく打てるし、彼を2番に固定できたことが大きい」(波留コーチ)

 そして今シーズンのもうひとつの特徴は、粘り強い戦いをするようになったことだ。その証拠に、チームの勝ち頭は2勝の藤井秀悟、吉川輝昭、山口俊の3人で、このうち先発投手は藤井だけ。あとのふたりはセットアッパーとクローザーだ。つまり、先発が早々と失点を許しても、中盤以降に追いつき、逆転する試合が増えた。

「チームに粘りが出てきたのは、やっぱり4番に計算できるバッターがいて、つなげば何とかなるという状況ができたから。石川、内村を筆頭に、荒波(翔)、松本(啓二郎)、梶谷(隆幸)らの若手が競い合い結果を出すことで、それぞれ諦めない気持ちが強くなったんだと思う。昨年の秋季キャンプは、とにかく若手を徹底的に鍛えました。それを乗り切ったことが自信につながり、その効果がいま出ていると思う」(高木コーチ)

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